片町アーケード40年ぶり一新 加賀五彩の柱で華やぎ、12月完成

経年で傷みが進む現在のアーケード

  ●観光客、外国人旅行者を歓迎 

 金沢市片町商店街振興組合は年内に商店街のアーケードを一新する。改修は約40年ぶりで、総延長600メートル区間で屋根を濃灰色、天井や柱をライトグレーのモノトーンで仕上げ、柱の内側は加賀五彩で彩る。26日に竣工、12月15日の完成を目指す。北陸有数の商業地である商店街の美観と安全性を高め、コロナを経て増加する観光客や外国人旅行者を迎える。

 片町商店街のアーケードは、国道157号沿いの約400メートルと、片町スクランブル交差点を中心とした中央通り沿いの約100メートル区間に設けられ、ビルや建物約70軒が立ち並ぶ。昭和30年代に行われた片町の近代化工事で原型ができ、ビルの部材を活用して1981(昭和56)年に完成した。

 工事から42年が経過し、老朽化による傷みや雨漏りなどが散見されるため改修を決めた。空全体を覆う全蓋(ぜんがい)式アーケードが全国で撤去される中、もてなしの象徴であるアーケードを刷新し、片町のにぎわいを取り戻そうと、コロナ禍の3年間を経て改修する。

 計画では現在、ベージュに塗られたアーケードの屋根は落ち着いた濃灰色、天井や柱はライトグレーに塗り替える。屋根を支える柱約30本の歩道側に、加賀五彩の臙脂(えんじ)・藍・黄土・草・古代紫の5色を配し、華やぎを加える。

 金沢市を通して派遣された景観アドバイザーの竹内申一金沢工大教授と研究室の学生がアイデアをまとめた。屋根は景観にとけ込み、美術館の壁のような白い天井は、商業エリアの個性豊かで華やかな店舗を引き立たせる効果があり、加賀五彩の差し色が金沢らしさを伝える。

 再開発が計画される片町2丁目の香林坊交差点-片町きらら間は実施しない。工事は市の助成を受けて進め、フラッグが掛かる街灯も塗り直す。商店街は2010年に市とまちづくり協定を結び、景観や歩行空間の環境を整えてきた。14年にはアーケードの照明をLED化し、美観や安全性の向上に努めている。

 片町商店街の諸江洋理事長はコロナの5類指定以降、商店街に新たに4店が出店したことに触れ「改修によりにぎわいの相乗効果を促したい。加賀五彩で華やぎを増した新しい片町に足を運んでほしい」と期待した。

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