「市街地クマ出没」即応へ特別チーム 山形市が検討、駆除など対応

住宅地にクマが出没したことを想定した訓練。特別チームを設立し、即応態勢を整える=山形市滑川

 市街地でのクマの出没に備え、山形市が猟銃を使った駆除などに対応する特別チームの編成を検討していることが24日、同市や地元猟友会の関係者への取材で分かった。散弾より威力が強いスラッグ弾を使用し駆除するチーム。同市鳥獣被害対策実施隊の中から熟練した射撃能力を持つ20~30人を選抜し、緊急の出動要請に即応可能な態勢を整える。酒田市などでの出没事例を受け、編成を急ぐ。

 今季はクマが市街地に出没するケースが相次いでいる。今月に入り、酒田市や鶴岡市で確認され、酒田市では通勤、通学時間帯に住宅街や学校の近くに出没。逃げ込んだ河川敷で猟友会が猟銃で駆除した。住宅地などで居座るなど、住民への被害も想定される危険性が生じた場合、警察官職務執行法に基づき警察官の命令を受け、ハンターが猟銃で駆除することができる。

 山形市で駆除に当たる同隊は、山形猟友会(青山克己会長)会員らで構成している。メンバーは約150人。普段は農作物などの食害を防ぐため、有害鳥獣の駆除や捕獲に協力し、市内10カ所の分会で活動している。特別チームは、各分会から適任者を選抜する方針。

 クマに対して使用する散弾銃のスラッグ弾は散弾に比べ威力が強い。発射時の反動も大きいため、選抜メンバーは、猟銃を扱う高度な技術が求められる。平日の日中に出没するケースも多く、突発的な事案にも対応可能な会員を想定する。チーム編成後、メンバーの射撃訓練も行う。警察とも情報を共有し、迅速かつ安全な現場対応につなげる。

 同市は、市内で男性がクマに襲われたり、学校施設に入り窓ガラスが割られたりした被害を受け、2020年10月、住宅地などで出没した際の関係部署の対応を具体的に示したマニュアルを作成。同年11月には実地訓練を行った。同隊事務局を務める市農村整備課の担当者は「クマは市街地のどこに現れてもおかしくない」と話し、早期に関係者と協議して態勢を整えたい意向だ。

スラッグ弾 散弾銃などから発射される銃弾の一種で、主にクマなど大型動物の狩猟に用いられる。鉛など多くの金属の粒が広がる散弾に比べ、直径の大きい単発の弾頭を発射する。散弾より射程距離が長く、威力は大きいが、発射時の反動は大きく、高度な技術が求められる。

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