大相撲・横審就任の前衆院議長・大島理森氏インタビュー 「重い役割、『稽古』必要」

今年1月、横綱審議委員に就任した大島氏。県勢力士の奮起に期待感を示した=20日午後、東京都内

 今年1月、日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審、山内昌之委員長)の委員になった前衆院議長の大島理森氏(76)が24日までに、都内で東奥日報のインタビューに応じた。大島氏は角界最高位の横綱に関する諸案件に携わる横審の役割は非常に重く「稽古」が必要と強調。横綱の地位や優勝から久しく遠ざかっている青森県出身力士の奮起を期待すると同時に、「相撲王国」として名をはせた青森県挙げての応援に期待感を示した。

 -横審委員に就任しての心境は。

 「えっ、私が」という思いもあったが考えてみれば、八戸高校の大先輩である北村正任さん(元毎日新聞社長)や高村正彦先生(元自民党副総裁)が委員長を務めたように、身近な人が横審にいたことを思い起こした。そういう縁があったことで打診があったのかもしれない。相撲界とつなぐ役として、大相撲ファンの多い青森県民に喜んでもらえると思って引き受ける決意をした。

 横審は大相撲を体現する最高の人を推薦し、さらには横綱に関わる諸般について具申するという非常に重い役割がある。これから相撲道に関して勉強する「稽古」をしなければとの思いだ。

 -横綱照ノ富士が復活優勝をとげた夏場所をどう見たか。

 横綱が久しぶりに出て関脇陣が非常に頑張り面白い場所だった。照ノ富士は日一日と力強く風格のある横綱相撲を見せてくれた。けがを克服しながら稽古をして、その努力の末の優勝であり見事だった。人間の生きる道にもつながる姿だと思う。膝にサポーターを巻いて綱の責任を果たしたいという思いのもとで頑張ったことに「あっぱれ」と申し上げたい。

 -若手力士に望むことは。

 大関、関脇を含めて全ての力士は横綱という山を乗り越えるために稽古に励まないといけない。「心技体」というが、その心はつらくても忍耐する、努力する心であるという。技は学びであり、毎日の稽古の中で本場所も含めて学びの心を持たないといけない。体というのはやはり稽古である。欲望を乗り越えて忍耐を学び、黙々と頑張ってほしい。

 -本県出身力士への期待は。

 現在、幕内には錦富士(十和田市出身)、阿武咲、宝富士(ともに中泊町出身)が頑張っている。確かに横綱は(旭富士・現伊勢ケ浜親方=つがる市出身=以来)出ていないが、県勢にはトップを目指してもらいたい。やはり地元の方々に応援をしてほしい。県民の応援が一番力になる。

 -好みの力士は。

 小さい力士が大きな力士に挑む姿に、頑張れと応援したくなる。舞の海(元小結、鯵ケ沢町出身)が良いなと思ったが歳を取ったらどっしりと構え、微動だにしない相撲にも魅力を感じる。

 -自身と相撲との関わりは。

 農家だった実家の庭で開かれた相撲大会に小学3、4年ごろに出てみたら同級生に二丁投げで投げられ、恥ずかしい思いをした。その後、晩飯を食べると兄(故・良助氏)に呼び出され「さあ、かかってこい」と稽古をつけられた。小さいながらも「負けないぞ、頑張るぞ」という精神が養われたのではないか。

 相撲というのはじっと見れば見るほど深い世界である。県民の皆で盛り上げて、わが県から横綱を出せるように盛り上げていきたい。

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