浮気しなくてよかった…夫たちが踏みとどまった瞬間 #8「あわよくば…本気になりそうだった女性」

夫婦生活を続けていく間には、ふとした出来心から浮気を思いつく瞬間もあります。

ですが、安易な気持ちで一線を超えてしまうと、重い罪悪感に苦しんだりいずれ妻にバレて離婚話に発展したり、いいことは何もありません。

浮気に走ろうとした夫たちは、何がきっかけで踏みとどまったのでしょうか。実録エピソードをご紹介します。

「結婚して10年になる妻は個人事業主として仕事をしていて、順調なのはそばで見ていてよくわかります。

仕事があるのに家のことをほとんどしてくれるし、子どもの世話も俺よりするし、暮らしを支えてもらっているのは実感していました。

明るくて前向きな性格の妻は友人も多くて、休日に家事を済ませてからランチに出かけていくこともあります。

妻のことを話すと会社の同僚からは『羨ましい』と言われるけれど、本音を言えば年収も上がらず友人も少ない俺は妻へのコンプレックスが強くて、心のどこかで『妻より下の自分』に焦っていたと思います。

そんなときに思いついたのがマッチングアプリで遊ぶことで、本気で浮気をするつもりはなかったけれど、妻以外の女性と仲良くなることで溜飲を下げたいと思っていました。

軽い気持ちで登録してみたら、顔写真を出していなくても同じ既婚の女性からメッセージをもらうことがあって、やり取りをすると同じように配偶者に不満があるのが伝わってきて。

そのなかでも同じ市内に住む女性と話がはずんで、『俺だけじゃないのだな』と思うと安心してしまい同情したり励ましたり、いい雰囲気だったと思います。

思い切って性生活の話を出したら『ずっとレスで』と返ってきて、『俺も同じ』とその話題でも盛り上がり、本当にホテルに行けるかもしれない、と初めて浮気を強く意識しました。

でも、そっちの話はするけれど、実際に会おうとか電話で話そうみたいな流れにはまったくならないのですよね。

俺から『よかったら電話でいいから話がしたい』と言っても『緊張するから』『このままじゃダメ?』といつも止められて、気がつけばアプリのなかでしか会話していない状態。

俺はずっと課金してやり取りを続けていて、せめてアプリ以外のツールで話を続けたいと伝えても『個人情報だし……』と向こうは尻込みする一方で、関係が進む気配はありませんでした。

冷静にメッセージを読み返してみると、それぞれの配偶者の愚痴やその日の報告ばかりでふたりの距離が縮まるような言葉はなく、『要は聞いてくれる人がほしいだけなのだな』、と気が付きました。

課金し続けても浮気まで進めない自分を見たら、ものすごく虚しくなって。

そのうち女性から送られてくる旦那への文句を読むのが面倒になって、アプリを起動することが減り、フェードアウトになりました。

それでも、話ができることで俺もだいぶ救われていたし、女性には感謝しています。

浮気なんて実際にそうそう叶うものじゃないし、コンプレックスを妻以外の女性との関係で昇華させようなんていう下心が、そもそも間違っているのですよね……」(42歳/土木)

マッチングアプリで話せる女性を見つけても、互いの目的が違えば関係は進みませんよね。

妻への劣等感は自分の問題であって、他人で解消することはできません。

浮気で本当に憂さを晴らせるのか、むしろ人に言えない罪を背負って生きる苦しみが新たに加わるだけではと感じます。

(ハピママ*/ 弘田 香)

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