「ひょうご本大賞」に「アンフォゲッタブル」 ジャズライブで受賞お祝い 著者・松宮宏さんのトークショーも

作中に登場する曲を演奏したジャズライブ=神戸市中央区元町通1、ジャズ喫茶ジャムジャム

 「ご当地本屋大賞」の兵庫版となる「2023ひょうご本大賞」の表彰式と記念イベントが24日、神戸・元町のジャズ喫茶ジャムジャムで開かれた。受賞作は、神戸・垂水在住の松宮宏さんの小説「アンフォゲッタブル はじまりの街・神戸で生まれる絆」(徳間文庫)。小説のモデルとなった同店で、松宮さんのトークショーにジャズ演奏も組み込み、ファンと受賞を祝った。(段 貴則)

 同作は、ジャズの街・神戸が舞台。プロのジャズミュージシャンを目指す女性や引退した潜水艦エンジニアら、ジャズをきっかけに知り合った人たちが、元町の再開発を巡る騒動に巻き込まれていく-という長編娯楽小説だ。

 表彰式に続き「創作の秘密とジャズ」と題したトークを展開。同店の池之上万里さん、同大賞事務局・神戸新聞ブッククラブ(KBC)の幹事で、井戸書店(神戸市須磨区)の森忠延社長も交え、語り合った。

 松宮さんは「神戸ならではの小説を書きたかった。らしさの一つが潜水艦。資料を読むのは大変だった」と話し、国内の潜水艦建造のパイオニア・川崎重工業(同市中央区)への取材など執筆の裏側を明かした。

 トークとともに、物語の世界を作中に登場する若手ミュージシャンたちがライブで再現。日本を代表するジャズトランペッターで、同作に登場する神戸出身の広瀬未来さんも飛び入りで参加して盛り上げた。松宮さんは「受賞のおかげでライブが実現できた」と感謝を口にした。

 終了後はサイン会も開かれた。本を手に並んだファンたちが「小説を読んで先生の神戸愛を感じました」など、作品の感想を松宮さんに伝えていた。

 昨年創設の同賞は、KBC加盟の県内書店が地域ゆかりのお薦め本を選び、読者の投票で大賞を決める。

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