G7記念品は「日光彫」写真立てなど 平野さん母娘が制作

記念品となる日光彫の作品を制作した平野秀子さん(左)と央子さん=県庁

 25日夜の地元主催レセプションでは、各国閣僚らに記念品として日光彫の写真立てなどを贈った。制作したのは創業90年以上を誇る「平野工芸」(日光市御幸町)の3代目、平野秀子(ひらのひでこ)さん(72)と長女の央子(ちかこ)さん(49)親子。「大変名誉なこと」と喜びを語るとともに、日光会合を契機とした女性の活躍に期待を寄せる。

 県からの依頼を受けて制作したのは、写真立て(縦23センチ、横30センチ)、丸形のプレート(直径15センチ)、豆皿(同12センチ)の計350点。いずれも桜のデザインを施し、約2カ月かけて完成させた。写真立ては国別に、米・英国にはバラ、フランスにはアイリスなど国花も彫刻した。

 プレートには県花のヤシオツツジ、日光市花のニッコウキスゲを彫り上げ、栃木らしさを加えた。

 日光彫協同組合などによると、バブル期に旧日光市内で約200人いた日光彫職人は現在20人前後で、女性は平野さん親子だけという。女性初の日光彫職人でもある秀子さんは「昔は力がないと彫れないので女性は敬遠された。今は電動彫刻刀があり、女性でもできるようになった」と話す。

 一方で、央子さんは「日本では女性の伝統工芸士が珍しがられる」と海外で活躍する女性工芸士たちとの違いを説明。会合をきっかけに「女性が子育てと仕事をしやすい世の中になってほしい」と願いを込めた。

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