急ブレーキやスピード超過はどこで多い? 車のビッグデータで通学路を安全に 兵庫・朝来

ビッグデータを活用して作成されたヒヤリハットマップ=朝来市役所

 兵庫県朝来市は、不特定多数の車のセンサーなどで得た走行状況のビッグデータから道路の危険箇所を見つけ、通学路での事故リスクを抑えるプロジェクトを本格化させる。既に、2022年度には市内2小学校の校区でモデル的に「ヒヤリハットマップ」(交通危険箇所位置図)を作った。近く全市でビッグデータの収集に着手し、23年度中にモデル地区を含む小中学校全13校のマップを作成、登下校の安全につなげたい考え。(小日向務)

 同市によると、自動車走行のビッグデータを通学の安全に生かす取り組みは兵庫県内で初めて。今年秋に神戸市中央区の県公館で開かれる「交通安全県民大会」で事例を発表する。

 22年度のモデル事業は、地域の課題を企業の先進技術で解決する県の仲介事業で実施。航空サービス会社の朝日航洋(東京)が提案した解決策が採用され、始まった。

 最近の車には自動制御のために各種センサーが搭載されていることが多く、データは記録されている。モデル事業では、22年4、5月の午前6~8時に朝来市立大蔵小学校(同市和田山町宮田)と竹田小学校(同町安井)の校区を走った車について、速度やブレーキの使用状況などのデータを個人が特定されない形で収集し分析。急減速した地点や、急ブレーキ時のスリップを防ぐアンチロック・ブレーキ・システム(ABS)の作動箇所、区間ごとの平均速度などを割り出した。同11月から2カ月かけて現場の道路状況も調べた。

 この結果、平均走行速度が法定速度を大幅に上回る区間や急減速の多い地点など、事故の発生リスクが高い計19カ所を新たに割り出した。また、モデル事業の前から安全対策を講じていた地点については、対策前後のデータを比較し、効果を定量的に評価できた地点もあったという。

 市は、モデル事業で得た高リスクの19カ所と過去の事故発生箇所に加え、既に知られている危険箇所などを示したヒヤリハットマップを作成。両校区の分を市のホームページで公開している。急減速の地点ではデータ数が多いほど大きく、色を濃くして、危険度を一目で分かるようにした。

 23年度は、9小学校と4中学校のヒヤリハットマップを完成させる。開会中の市議会定例会に関連費用800万円を盛り込んだ一般会計補正予算案を提出しており、30日の本会議で可決されれば、作成に取りかかる。

 完成したマップは児童生徒、ドライバー向けの啓発などに活用する。速度超過区間には路面を緑色に塗装し、ドライバーにスピードの抑制を促すなどの交通安全対策を図る。

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