【熱海土石流】復興計画に批判続出 二転三転も説明不足…市の姿勢に被災者は不信感(静岡・熱海市)

静岡県熱海市で起きた土石流災害からまもなく2年となるのを前に、熱海市は「宅地の整備計画」について住民説明会を開いた。しかし方針が二転三転しながら、十分な説明がないまま計画を進めようとする市の姿勢に被災者から批判が続出した。

熱海市は2021年7月3日の土石流災害で被災した伊豆山地区を警戒区域に指定し今も124世帯・217人が避難生活を強いられている。

復興を急ぎたい熱海市は2022年9月、宅地の整備計画を公表。市がふるさとに戻ることを望む被災者の土地を買い取った後、宅地造成を進め、分譲する方針を示したが、被災者から「自宅があった場所に戻れなくなるのでは」といった不安の声があがっていた。

これをうけ、熱海市は方針を一転。土地の復旧工事は被災者に行ってもらい、その費用の9割を補助するかたちに見直すことを決めた。そして関連する費用・約2億6000万円を補正予算案に計上し市議会に提出したが…

被災者から批判の声が相次いだことをうけ、急きょ取り下げる事態となっていた。

(熱海市 斉藤栄市長)

「一日でも早く帰還したい方には足踏みではあるが丁寧に被災者の声を聞きながら説明を尽くすために取り下げた」

こうして開かれた住民説明会。二転三転する熱海市の迷走ぶりに加え、これまでの説明に納得いかない被災者から一気に怒りや困惑の声が続出した。

(被災者)

「124世帯みんなに聞いたと言うが10世帯の意見を聞いて方針に決めたのではないか?違うのか?」

「信頼関係がない。いくら議論を重ねても不信感しかない」

さらに被災者の求めに耳を傾けるよう、斉藤市長に対し要望書が提出される一幕も…

(母親を亡くした 太田朋晃さん)

「要望書を書いたのでよろしくお願いします。なぜこうやって渡すか分かりますか?個々に訪ねても聞いてもらえないから、この場で市長に渡すんですよ」

「2年間何をやっていたのか。市議会で市長がひっくり返してまた振り出し。この2年間これからどれくらいかかるのか」

(自宅が警戒区域内 小松こづ江さん)

「どうしてこれだけ変わるのか。変わらなければだめなのか。何を信じていいのか分からない」

被災者から相次いだ批判の声に斉藤市長は…

(熱海市 斉藤栄市長)

「いろいろな意見として率直に受け止めなければならない。あくまで目的は被災者の生活支援と復旧復興、そこにつながるプロセスとして対話は増やしていきたい」

熱海市は今後も説明会を開き住民の理解を得たい考えだ。しかし、方針が二転三転しながら十分な説明がないまま計画を進めようとする市の姿勢に被災者の不信感は広がっている。

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