石川県内でタクシー運賃改定 実質値上げ、地元客嘆き

新たな料金体系で営業を始めた石川県内のタクシー=26日午後8時20分、金沢市片町1丁目

  ●初乗り安く観光客は恩恵?

 石川県内のタクシー運賃が26日改定され、新たな料金体系のもとで各社が営業をスタートした。普通車の初乗り運賃が従来より安くなった半面、遠くへの移動は割高となり、北陸信越運輸局によると、値上げ率は15%前後となる。観光客らを中心とした「ちょい乗り」の増加が見込まれるものの、中長距離での利用が多い地元客からは「使いづらくなる」と嘆く声が聞かれた。

 北陸信越運輸局によると、消費増税を除く改定は15年ぶりで、普通車の初乗りの価格幅は従来の650~710円から550~600円となった。一方、初乗りや加算までの距離は短縮され、距離に応じた加算額も20円増の100円となった。

 上限運賃で比較すると、初乗り価格となる金沢駅-武蔵ケ辻周辺は、従来の710円より安い600円で移動できる。都心近くに位置する観光スポットを巡る観光客や、短距離でもタクシーを使う高齢者にとっては「お得」となる計算だ。

 一方、金沢市香林坊から乗車した場合、犀川大橋を渡ったあたりで料金は700円となり、さらに郊外へ行く場合はこれまでの運賃より高くなる。例えば同市四十万まで乗ると約3500円で、以前の3千円前後より500円増しとなる。

 月に1、2回、タクシーを利用するという金沢市久安5丁目の増本真一さん(63)は「料金が上がるのはきつい。メーターが千円を超えたら、家に到着しなくても降りるようにしたい」と話した。

 一方、片町で飲食した際など週4回ペースでタクシーを使う相澤裕一さん(23)は「少し高い気はするが、仕方ない。そこまで急激な値上げでもないので、これからも乗車したい」と語った。

 値上げは燃料高などに対応するためで、同運輸局に新運賃を届け出た県内54社のうち、47社が普通車の初乗りで上限価格となる600円を選んだ。下限の550円は2社だった。

 地元大手の大和タクシー(金沢市)の担当者は「乗り控えする人も出てくると思うが、利用客には理解を求めていくしかない」と話した。

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