性暴力相談過去最多1206件 とちエール22年度まとめ 実態、窓口の認知度向上

とちエールへの相談件数と相談者数

 性犯罪・性暴力被害者を総合的に支援する県の「とちぎ性暴力被害者サポートセンター」(愛称・とちエール)に寄せられた2022年度の相談件数は前年度比251件増の1206件で、過去最高を更新したことが26日までに、県のまとめで分かった。県は性暴力被害の実態や相談窓口の認知度の向上などを増加の要因とみている。担当者は「おそらくまだ、相談できていない被害者もいる」として、引き続き相談窓口の周知を強化していく。

 同センターは15年7月、済生会宇都宮病院内に開設された相談窓口。性別や年齢を問わず誰でも相談できる。専門の相談支援員や看護師らが電話または面談で応じ、関係機関と共に医療や法的支援などを行う。

 県人権男女共同参画課によると、22年度の相談件数は、4年前の18年度の236件から5倍超に増えた。相談者は性暴力を受けた当事者やその家族、児童相談所、警察などで、8人増の165人だった。

 性暴力だけでなく、貧困などを含め当事者が抱える課題に手厚い支援をするため、1人当たりの相談回数も増えているという。

 相談内容は、強制わいせつが前年度比54%増の48%で約半数を占めた。次いで強制性交が同32%増の39%だった。性的な画像を送ったほか、撮影されたという相談も増えているという。

 相談者が性被害を受けた時の年齢は、10代以下が46%で最多。20代が24%、30代が10%と続いた。一方、加害者は知人・友人が21%で家族関係者が13%、交際相手が10%だった。ただ、同センター開所からの統計では、家族関係者からの性被害が最多となっている。

 性犯罪を巡っては、規定を見直す改正刑法などが今月、成立した。強制・準強制性交罪を統合し、「不同意性交罪」と改称したほか、公訴時効の5年延長などを盛り込んだ。

 同課は「時間がたってから性被害を相談する人もいるので、時効延長で多くの人が救済されるようになってほしい。今回の改正が性暴力の抑止力になれば」と期待する。被害者に対し「一人で悩まず相談してほしい」と呼びかけている。

 電話相談は月~金曜午前9時~午後5時半、土曜午前9時~午後0時半。(問)とちエール028.678.8200。

© 株式会社下野新聞社