庄内弁舞台、次は「火の家」 藤沢周平さん「春秋山伏記」・都内で30日から

庄内町出身の俳優佐藤輝さん(左端)をはじめ、庄内地方出身の俳優たちによる舞台の稽古=東京都江東区

 庄内町出身の俳優佐藤輝さんをはじめ庄内地方出身の俳優や表現者が作家・故藤沢周平さん(鶴岡市出身)の小説「春秋山伏記」を舞台化し、東京から発信するプロジェクトの第3弾公演を今月30日から都内で行う。春秋山伏記の5編を毎年1本ずつ公演していくプロジェクトの折り返しに当たり、「火の家」を舞台化する。本番を目前に稽古に熱が入っている。

 春秋山伏記は、藤沢さんが庄内弁にこだわり、庄内の風土と庄内人の心情を描いた5編から成る。「庄内風土記だ」と感動した佐藤さんが同郷の俳優らに呼びかけてプロジェクトを始めた。2021年から「験試し」「狐(きつね)の足あと」を上演した。今回の「火の家」は村に若い男が入ってきたことから始まるミステリー。舞台には佐藤さんが写真撮影した庄内の風景が投影され、本場の庄内弁で物語が進む。よそ者を村から追い出そうとする人々の心情も描かれる。

 佐藤さんは「どの時代にも差別意識があり、一方で人が夢を持って生き、人を愛することは変わらないことも伝えている。藤沢さんがいかに人を深く掘り下げているか感じる作品」と話す。佐藤さんのほか、斎藤志郎さん、大場圭祐さん、佐々木亜希子さん(いずれも酒田市出身)、白幡大介さん(鶴岡市出身)、渋谷宏美さん(遊佐町出身)が出演する。

 会場は東京・神楽坂のライブハウス「THEGLEE」。開演時間は30日が午後7時、7月1日が午後1時と同6時、同2日が午後1時。入場料金は全席自由で5千円。申し込み方法など主催するオフィス天童のホームページで紹介している。問い合わせはオフィス天童03(3649)8754。

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