さとちょう「自転車操業」限界に 弁当・総菜内製化が裏目、「反社」問題の融資停止追い打ち

記者会見で民事再生法の適用申請について説明する佐藤社長(右)=26日午後、弘前市の佐藤長本社

 「実態としては自転車操業だと銀行に指摘された」。スーパー「さとちょう」を展開する青森県弘前市の「佐藤長」が民事再生法の適用申請を明らかにした26日の会見で、代理人の齋藤拓生弁護士はこう説明した。資金繰りが限界に近い状態が続く中、前社長の逮捕に関連した金融機関の懸念が払拭されず追加融資を受けられなかったことが経営破綻の引き金となった。

 同社側の説明によると、弁当や総菜の製造工場を運営する関連会社「青森食研」の失敗が経営悪化を招いた。一括仕入れ、集中生産で外注よりも経営効率を高める狙いだったが、ノウハウがなく、経費削減、利益拡大の効果が計画通りに得られなかった。

 競合他社との価格競争、ロシアのウクライナ侵攻に伴う仕入れ価格や光熱水費の上昇に見舞われ、経営はさらに悪化。一部の金融機関からは「事業として黒字を生み出せるのか」と厳しい指摘を受けたという。

 齋藤弁護士によると、民再法申請が決定的になったのは、融資停止により「6月末に資金繰りのめどが立たなくなるから」だった。融資停止は前社長が職業安定法違反容疑で逮捕され、反社会的勢力の関与が疑われたことが原因となっていた。

 金融機関はコンプライアンス(法令順守)の観点から反社会的勢力との取引を問題視している。佐藤長は法律事務所に調査を依頼し「反社と組織的な関わりは認められない」との報告書を提出したが、金融機関側は「認められないでは不十分。完全に白と証明してもらわないと困る」としたという。

 佐藤長は今春、賞味期限の近い商品を割引販売する「エコさとちょう」を開店したが抜本的な対策には至らなかった。佐藤譲社長は「現金確保の策として開店した。エコさとちょうをやったことでいくらかは(資金が)続いた」と話し、会見会場を後にした。

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