【高校野球 広島大会・注目校紹介】「ひ孫くらいの子と話をするには勉強をしないといけない」名将・迫田穆成監督 83歳の夏 竹原高校野球部

高校野球 広島大会が、7月8日に開幕します。甲子園を目指して汗を流す高校球児たちの夏を追うシリーズ「つなぐ夏、つながる未来」。今回は、83歳の名将・迫田穆成(さこだ よしあき)監督が率いる、県立竹原高校です。

2019年秋、竹原高校野球部にやってきた 迫田穆成 監督。就任当初は11人でスタートしましたが、この春、新入生25人が入り、部員は41人まで増えました。それだけではありません。ことしは待望のコーチも加入、目指す形が整ってきました。

迫田穆成 監督
「部員が増えてうれしいです。うれしいですね。人数がいると、ランナーをつけてノックができます。そうすると練習がより実戦に近くなります」

広島商業を率いて、1973年に全国制覇、如水館も甲子園の常連校に育てあげた迫田監督。83歳になった今もグラウンドに立ち続けます。選手たちに説くのは「創意工夫」。この日も自ら購入してきたゴムバンドやラケットをグラウンドに持ち込みます。

チームの主砲候補・福田海翔 。178センチと恵まれた体格ではありますが、バットが遠まわりして、インパクトの瞬間に力を凝縮できません。そんな彼に、迫田監督は、小さなラケットを手渡します。

迫田監督
「インパクトの瞬間に最大の力をぶつける。そのためにはどうするか、自分で考えなさい。」

投球練習をする、新山要 選手の前にはゴムバンドを張ります。これによって、ボールを低めに集めるための感覚を養おうと試みます。

新山要 選手
「前まではボールが沈んでいたんですけど、投げ込む中で低めの球が伸びるようになりました。ぼくからしたら迫田監督は最高の監督です。一生懸命やりたいと思っています」

捕手の 寺戸暖 選手の足元には、足を踏み出す方向を示すラインが引かれます。やるべきことを、迫田監督はとことん「見える化」します。

寺戸暖 選手
「送球はできるようになったと思うんですけど、まだまだ上は目指せるので、現状満足せず、練習していきます。迫田監督は、普通の人では見ていて気づかないところを指摘してくれる」

ただ、迫田監督は83歳。選手との年齢差は感じています。

迫田監督
「おじいさんより25歳年上って言われました。わたし、先日、ひ孫が生まれましたが、かわいいばっかりで、そういう世代の子どもさんと話をするには勉強もしないといけない」

ここでも、迫田監督のアイデアは光ります。選手とはYouTubeやメールを駆使して、本音をぶつけあいます。

迫田監督
「これだけ年齢が違うと選手も面と向かって、わたしにものが言えませんが、メールならいい返事をしてくれます」

去年は35年ぶりベスト16入りを果たした竹原高校。声で、体で、SNSで、83年の経験を、命を懸けて、つなぎます。

迫田監督
「野球をやるのは楽しいです。自分が練習したことが少しでも成功したらうれしいものです。それを教えて “良かった” と言ってもらうのが、一番の夢ですね」

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