【スプリンクラー問題】作動原因特定できず 静岡・裾野市事故調査委員会発表 被害受けた楽団「直ちに補償開始するよう要求」へ

2022年9月、裾野市のホールで、突然スプリンクラーが作動し、楽団員がけがをしたり楽器などが被害を受けた問題で、市が設置した事故調査委員会は、6月27日、会見を開き「原因は特定できなかった」と調査結果を発表した。

この問題は、2022年9月、裾野市民文化センターで、焼津市の楽団「シンフォニエッタ静岡」がリハーサルをしていたところ、突然、スプリンクラーが作動し、演奏者が転倒するなどして5人が重軽傷を負ったうえ、高額な楽器などが被害を受けたもの。

市は当初、設備に故障はなく“第三者が人為的に操作した可能性がある”との見方をしていたが、その後、大学教授や専門業者などで構成する事故調査委員会を設置し、2022年11月から調査を始めた。

2023年3月に発表した中間報告では「漏水により、配管に水が満たされ、誤作動がおきた可能性もある」との見解を示し、「漏水の有無やその量」などを詳しく調べる必要があるとして、3月末までとしていた報告期限を延長し、調査を継続した。

一方、楽団側は独自の調査を行い、2023年3月に「配管内に漏水が発生し、誤作動で放水に至った」とし、設備の経年劣化などが考えられるとの見解を示していた。

問題の発生から約9か月。事故調査委員会は27日、最終報告書を市に提出し、会見で「原因は特定できなかった」と発表した。

(事故調査委員会 近藤淳 教授)

「充水(漏水)する原因が想定できるとしても、一斉開放弁が作動するに至るほどの漏水量があったと特定できないことから、本件事故の原因は特定できないということになる」

一方で、事故調査委員会は、メーカーなどによる調査でバルブに傷が確認され、すべてのバルブで漏水していたと発表し、「人為的な操作以外の原因で発生した可能性は排除できない」と結論づけた。

最終報告を受け村田市長は「最終報告書につきましては内容を精査し、裾野市の対応を検討して参ります。負傷された楽団員や、大切な楽器を損なわれた方々には、改めて心からお見舞い申し上げます」とコメントした。

一方、楽団側は、報告書を受け取っていないとしたうえで、「開放型スプリンクラーの専門家が1人もいない事故調査委員会が、どのように結論を導き出したのか、しっかりと確認する必要がある」と見解を示し、「裾野市長には誠意をもって直ちに補償を開始するよう要求します」とコメントしている。

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