長崎西洋館の思い出 閉館に惜別と感謝 「お城がある!」/パンドラの箱/青春/プロポーズ

閉館した長崎西洋館

 長崎市川口町で33年間営業した複合商業施設「長崎西洋館」が5月末で閉館。長崎新聞の情報窓口「ナガサキポスト」で思い出を募ると、家族や友人と楽しく過ごした約120人から、惜別や感謝の言葉が寄せられた。投稿の一部を紹介する。

 20年前、夫の故郷の長崎へ九州外から引っ越してきました。空港に着き、車で長崎市内へ。夜の9時前後だったと思います。私の目に飛び込んできたのは洋風のお城!。「お城がある!」と声に出したのを覚えています。ライトアップされた西洋館でした。今でも忘れることのない、長崎で初めての夜の光景。あの建物は可能であればそのまま残してほしい。長崎市民になって最初の夜の思い出がなくなるのは悲しすぎます。(長崎市・50代女性)

 「パンドラの箱」(お化け屋敷イベント)です。友だちとみんなで並んで遊びに行ってました。怖かったけど、お化け役の人も優しくて、道を教えてくれたりしたのを覚えています。
(時津町・40代女性)

 週末は娘たちを連れて「みの吉」でお好み焼きを食べ、ゲームセンターで遊ぶのがルーティンになっていました。いろんなイベントにも行って、たくさんの思い出ができました。
(長崎市・50代男性)

 21歳の頃、同じ年頃の女の子5~6人で洋菓子店「ボンパティ」で楽しく働いていました。当時付き合っていた彼氏が免許を取りたてで、よく迎えに来てくれたことを覚えています。誕生日と言えば、「ザ・インポート」(輸入雑貨販売)でプレゼントを買うのが定番でした。青春時代の思い出の場所。とてもすてきな建物なので、どうかそのままで再利用してほしいです。(諫早市・40代女性)

 子どもたちが小さい時、「サン宝石」(アクセサリー販売)の人気キャラクター「ほっぺちゃん」にハマっていて、西洋館で販売イベントがあった時に連れて行って大量に買いました。石ノ森章太郎さん(漫画家)の企画展や歴代リカちゃん人形の展示会など、いろんな催しがあって何度も家族で訪れた懐かしい場所です。(南島原市・50代女性)

 大切な勉強場所。館内のあの少し薄暗い感じが落ち着きを与えてくれて、なんとなく雑然としてガヤガヤした雰囲気も学習の集中に役立った。黙々と勉強に励む若者たちに負けまいと資格試験にトライした。学習の合間に屋上の椅子に座ってぼんやりするのも好きだった。おかげで無事に資格試験にパスしたし、すてきな時間を過ごせた。ありがとう!
(雲仙市・60代男性)

 幼少期は子ども広場で家族と卓球などを楽しんだり、長崎路面電車資料館を訪れたり。今では高校の友人の吹奏楽コンサートに行ったりと、思い出がたくさん詰まっています。いつも落ち着いている雰囲気が大好き。今月末で閉まってしまうのはとても寂しいです。(長崎市・10代男性)

 妻へのプロポーズの場所。(諫早市・30代男性)

 高校で親元を離れ、慣れない寮生活をしていました。息抜きに友だち4人で初めて行った西洋館。写真を撮ってもらい、缶バッジにしてくれるイベントがありました。それから何度行ったことか…。缶バッジのみんなの笑顔を見るたび、あの頃を思い出します。
(島原市・40代女性)

 障害がある息子は路面電車が大好き。「路面電車まつり」も毎年楽しみにしていました。電車の部品などの展示場所は何時間も見ていました。長崎大学病院からの帰り道、イルミネーションに何度も心癒やされていました。西洋館がなくなるのは、とても寂しいですが、今まで本当にありがとうございました。
(諫早市・50代女性)

 ※できるだけ多くの方の声を紹介するために投稿内容の一部を削ったり、意味が正確に読者に伝わるよう必要最低限の修正を加えたりしている場合があります。ご了承ください。

1990年、11月末オープンに向けて建設中の西洋館

◎メモ/長崎西洋館

 バブル期の1990年に開業。地上3階地下2階建て。最盛期の96年は約235万人が来館したが、大型商業施設との競合や新型コロナウイルス禍で、2020年は約68万人まで減少した。長崎電気軌道(長崎市)は運営を断念し、売却も含め土地建物の活用を検討中。建物内を通過する路面電車の軌道変更は予定していないという。


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