三村青森県知事、28日退任 破綻危機の財政再建や「攻めの農林水産業」で実績

退庁時、東奥日報の取材に応じる三村知事=27日夕

 青森県政史上最長の5期20年を務めた三村申吾知事(67)が28日、任期満了で退任する。破綻危機にあった県財政の立て直しや、「攻めの農林水産業」を掲げた県産品の売り込みで実績を上げ、インバウンド(訪日客)を含む観光振興にも力を注いだ。県政のかじ取り役は29日、4日の知事選で初当選した前むつ市長の宮下宗一郎氏(44)に引き継がれる。

 三村知事の県庁外での公式行事は26日に終了。27日は庁内各課を回って職員に感謝を伝えた。同日の東奥日報社取材に「県産品販売などでお世話になった国内外の関係先には、これからも一緒に仕事ができるようばっちりつないできた。新知事はスタートダッシュできると思う」と語った。

 三村氏は旧百石町(現おいらせ町)出身。百石町長、衆院議員を経て、故木村守男元知事の辞職に伴う2003年の知事選に立候補し、自民党などの推薦を受けて勝利した。その後4度の知事選ではいずれも他候補に大差をつけて当選を重ねた。

 就任時の県財政は危機的状況で、財政再建団体への転落も予想されていた。三村知事は大規模施設の建設凍結や県職員800人削減を打ち出し、歳出カットを徹底。健全化の努力は長く続き、17年度一般会計当初予算で27年ぶりに基金取り崩し額をゼロとし、収支均衡を達成した。

 青森県農水産物のトップセールスは国内外で展開。農業産出額は18年連続で東北トップとなり、県産リンゴ総販売額も8年連続で1千億円を超えた。

 一方、最重要課題とする人口減少には歯止めをかけられず、今年2月に推計人口が120万人を割り込んだ。県民生活に直結する平均寿命、がん死亡率などの指標は全国最下位クラスから抜け出せなかった。

 三村知事が選任した青山祐治(71)、柏木司(61)の両副知事、和嶋延寿教育長(61)は知事退任に合わせ28日に辞職する。

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