警察犬「クレバ号」5回目の表彰 深夜に行方不明の高齢女性を早期発見「遅れていれば命危なかった」

表彰を受けたクレバ号(右)と、辻理仁警部補(中央)=加西署

 行方不明者の早期発見に貢献したとして、兵庫県警加西署は27日、県警鑑識課の警察犬「クレバ号」(4歳、雄)を表彰した。かつて捜索中に一時逃走し、話題になったクレバ号だが、表彰されるのはこれで5回目。同署の大戸英治署長は「命を救ってくれてありがとう。今後も活躍を期待している」と感謝した。

 3日午後10時ごろ、市内の女性(80)が行方不明になったと、家族が加西署に届けた。深夜で人間の目では捜索が難しかったため、同署が警察犬の出動を要請した。

 クレバ号は4日午前0時半、行方不明者の自宅周辺で捜索を開始。草むらに落ちていた女性の靴やかばんを見つけると、同1時10分ごろ、ため池の浅瀬に倒れていた女性を発見した。

 女性は背中など体半分が水に漬かり、震えて会話ができない状態だったという。救急搬送され、2日後に退院したが、大戸署長は「発見が遅れていれば命が危なかった」とクレバ号をたたえた。

 クレバ号は2019年から県警で訓練を受け、20年10月には捜索現場の山中で一時逃走したこともあるが、再訓練を受け現場復帰。行方不明者の発見は今回が8回目と活躍を続けている。コンビを組む辻理仁警部補(42)によると、仕事のオン、オフの切り替えがうまく「現場では頑張って仕事をして、ご褒美として遊ぶのが大好き」。辻警部補と一対一になると「なでてほしい」と甘えるという。

 表彰式では賞状とともにビーフジャーキーも贈られ、クレバ号は鼻を近づけて気になる様子。辻警部補は「丸のみするくらいおやつは大好きです」と、クレバ号に笑いかけていた。(敏蔭潤子)

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