「世界的伝統文化保存プログラム」に協力が縁 豪の研究者が兵庫の高校で特別授業 「紙衣」の魅力解説

マイクを手に語るモハジャ・バ・ぺサラン・ダフネ博士=佐用高校

 和紙製の衣服「紙衣(かみこ)」の研究者でデザイナーとしても活動するオーストラリアのモハジャ・バ・ペサラン・ダフネ博士が、佐用高校(兵庫県佐用町)で特別授業を行った。ダフネ博士が携わる英ロンドン・大英博物館の「世界的伝統文化保存プログラム」に、同校の生徒が協力した縁で実現。家政科の2年生34人が専門家の話に耳を傾けた。(真鍋 愛)

 同プログラムは2018年、絶滅が危惧される世界の古い技術や伝統を記録に残すために始まった。日本からは、ダフネ博士が進める紙衣の製造技術の研究が唯一、プログラムに入っている。

 同校は、昨年の3年生8人が地元の伝統産業「皆田和紙」を使った紙衣作りでダフネ博士に協力した。農業科学科の生徒5人は、地元の皆田和紙保存会の会員らと和紙作りに挑戦。家政科の生徒3人は手縫いで大小2着を仕立てた。製作過程などを収めた動画は同博物館に提供されるという。

 ダフネ博士は6月上旬、研究などの目的で来日。23日、同校を訪問した。

 授業では、紙衣の特徴を「和紙が空気を含みやすいため、ウールと同様に体が温かくなる」と解説した。「オーストラリアでは、研究の一環で和紙を使ったコートや帽子などの製品を作って販売している」と明かし、「今後は洋紙の研究にも取り組みたい」と意欲を語った。

 生徒が今後の授業で、和紙を草木で染めて服を作る予定と伝えると、ダフネ博士は「いいね」と笑顔を見せ、「学校の周辺で採った植物でどんな色が出るのか興味がある」と目を輝かせた。

 女子生徒(16)は「普段の授業とは違って、専門的な衣服の話を聞けてよかった」と話した。

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