「第2位」改め「日本一」20年ぶり商機逃すな 自慢の兵庫県産ノリ売り込め、販売会社が攻めのPR

生産量日本一をPRするチラシ(左)と、自社ブランド「須磨のり」が並ぶ河昌の店内=神戸市須磨区松風町5

 2022年度(22年秋~23年初夏)の全国のノリ養殖シーズンが終わり、兵庫県産の20年ぶり日本一への返り咲きが確定した。19年連続トップだった佐賀県が天候不良で不作。兵庫は適度に雨が続くなど好条件に恵まれ、前年度比6%増の約12億8223万枚、額は66%増の約221億円となった。県内のノリ加工販売会社では早速、日本一をアピールするなど、久々の商機を活用する動きも出ている。(三宅晃貴)

 1971年創業で、「須磨のり」の自社ブランドで道の駅や百貨店などに卸すノリ専門店「河昌」(神戸市須磨区)。焼きのりや味付けのりなどを販売する自社のホームページに記してきた「日本第2位」を「日本一」に改め、店頭などで配るチラシでもPRする。

 藤井昌治相談役(67)は、20年前の日本一当時のことは「覚えていない」とするが、「久々の(生産量)一番。これを機に兵庫産ノリの質の高さを多くの人に知ってもらい、味わってほしい」と笑顔で話した。

 一方、今年は主要産地の有明海をはじめ、全国的に不作。資材や運賃も高騰し、ノリの相場は2、3割高騰したといい「仕入れは大変だった。20年以上値上げしてこなかった商品も価格転嫁で値上げせざるを得なかった」と話す。

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 兵庫県産のノリは、型崩れしにくく色や味・香りが長持ちするのが特長。全国のすし店やコンビニを中心に消費されている。

 県漁業協同組合連合会(明石市)によると、県内では毎年全国の約2割を生産。2002年度の全国一を最後に2、3位などに甘んじてきた。22年度は播磨灘や大阪湾の計28漁協が養殖。林崎(明石市)、明石浦(同)、神戸市、坊勢(姫路市)の4漁協が約4割を生産する。今季は適度に雨が降り、河川から海に十分な栄養が供給されたという。

 全国漁業協同組合連合会(全漁連)のり事業推進協議会(東京)などによると、22年度は、例年国内の4割を生産する有明海(佐賀、福岡、熊本、長崎の4県)が天候不順で不作。03年度以降全国トップだった佐賀は枚数が前年度比47%減の約9億枚、額も23%減の約167億円と激減した。秋から冬の少雨に加え、年末に赤潮が断続的に発生し、海の窒素やリンなどの栄養塩が極度に減ったことが響いたという。

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