長崎大落研が廃部危機 プロ輩出も、現在2人 「一度聞きに来て」 7月9日、長崎歴文博で寄席

7月9日に披露する「お見立て」を稽古する馬渡さん=長崎市文教町、長崎大

 創立50年の長崎大落語研究会が廃部の危機に直面している。現在の会員は過去最少の2人。会長で、同大環境科学部2年の馬渡(もうたい)遥さん(19)=芸名・麗し亭千春=は「お笑いに興味がある人、新しいことに挑戦したい人、地域貢献がしたい人は一度、話を聞きに来てほしい」と入会希望者を募っている。
 1973年創立の大学公認サークル。テレビ番組でおなじみの三遊亭好楽さんの孫弟子で、佐世保市出身のプロ落語家、三遊亭らっ好さん(32)が所属していた他、OBにはアナウンサーもいる。らっ好さんによると、全盛期は4学年合わせて約30人が在籍。毎日のように稽古でネタを見せ合ったり、合宿を企画して特訓したり、全国大会に出場したりと活発に活動していた。
 馬渡さんによると、新型コロナ禍前から会員は減少し、2022年時点で3人に。うち1人は今年3月に卒業し、4月から2人になった。現在の活動は週1回。動画投稿サイト「ユーチューブ」や部室にあるDVDでプロの落語を視聴し、セリフを文字に起こして個人練習に励んだり、ネタを見せ合って互いに講評したりする。
 もう一人の会員は滋賀県出身の男性で、芸名は鶴屋わく珍さん(21)。今年3月、同大を中退したが「長大落研を自分たちの代で終わらせるわけにはいけない」と在籍を継続。学内掲示や交流サイト(SNS)での発信など、新入会員の呼び込みに力を入れている。
 同研究会の他、お笑い系のサークルが2団体ある同大。2人は「落語は個の力で笑いを取るところが魅力」と差別化を図ってアピール。大学から落語を始めたわく珍さんは「古典落語は、素人でもおもしろくなるよう作られている」、小学4年から始めた馬渡さんは「もともと人前で話すことは苦手だが、寄席で経験を積み、堂々と話せるようになった」という。
 歴史ある団体でOBOGとのつながりも強固だ。廃部の危機にある後輩たちの手助けになればと、らっ好さんは昨年10月、学生対象のワークショップを企画。新規入会者の獲得に至らなかったが、その後も多くのOBOGが先輩から代々、受け継いできた居場所を守ろうと動いている。
 そんな中、今年も恒例の同研究会主催の「やわた寄席」が7月9日午後1時、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館1階ホールで開かれる。
 馬渡さんは、花魁(おいらん)が客にうそをつきごまかし続ける「お見立て」、わく珍さんは男2人が口癖の直し合いをする「二人癖(ににんぐせ)」を披露、OBや他大学の落語研究会も出演する。木戸銭(チケット代)無料。問い合わせは長崎大落語研究会(choudaiochiken@gmail.com)。

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