「じょんから節聴いて『行がねばマイネ』と思った」ブラジル人津軽三味線奏者、青森県弘前市で演奏へ

ブラジルのイベントで津軽三味線を演奏するマテウスさん=2022年9月、コッペデさん提供

 ブラジル在住の津軽三味線奏者で日本語講師のマテウス・ビテンクウ・オリベイラさん(26)が8月に青森県弘前市を訪れ、津軽三味線の本場で演奏する夢をかなえる。約10年前に津軽三味線に魅せられ、現地のさまざまなイベントで演奏してきた。6月中旬、東奥日報のオンライン取材に「津軽じょんから節を聴くと、まだ見たことのない津軽の風景が目に浮かぶ。『行がねばマイネ』と思った」と語った。

 マテウスさんはサンパウロ州生まれ。子どもの頃から日本語に興味を持ち、日本語学校に通学。日本民謡や演歌に夢中になった。吉幾三の「岩木川」「女のかぞえ唄」などが好きという。

 日本の民謡楽器の中でも津軽三味線に魅了され、16歳で現地の日系人が開く津軽三味線教室へ。動画配信サイトで名手の演奏を研究したり、サンパウロ市の東洋人街・リベルダージ地区で路上演奏したりするなど腕を磨いてきた。この1、2年、日系ブラジル人のイベントに招かれて演奏する機会が増え「日本を代表する伝統の音楽を守りたい」との思いを強くした。

 日本各地の三味線演奏も独学で学んだマテウスさん。津軽三味線を選んだ理由を「音が強くてかっこいい。(音色や奏法に)津軽の魂が込められている。じょんから節の曲弾きのように、自由に弾けるのもいい」と話す。

 在ブラジル青森県人会副会長のコッペデひろみさん(弘前市出身)は「マテウスは、津軽三味線の古典から最近の楽曲まで演奏し、ブラジルの若者たちをくぎ付けにしている。向上心も強い」と語る。コッペデさんはマテウスさんの来日をサポートする予定だ。

 岩木川の河川敷で津軽三味線の音を響かせたい-とマテウスさん。10月まで弘前市に滞在し、同市の津軽三味線居酒屋「あいや」で店主の三味線奏者・渋谷和生さんに演奏を学んだり、同店のステージに出演したりする予定だ。「津軽の人たちが、私の演奏を聴いてどんな反応をしてくれるのか、期待しています」

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