赤こんにゃく、しょうゆ漬けビワマス 「滋賀の食材伝えたい」懐石料理人が写真集

滋賀の食材をふんだんに使った懐石料理の写真集「精美なる湖國饗膳」を出版した清本さん(県庁)

 国の「現代の名工」認定者で懐石料理店「近江懐石 清元」(滋賀県大津市雄琴6丁目)店主の清本健次さん(56)が、滋賀の野菜や川魚を使った料理の写真集「精美なる湖國饗膳(きょうぜん)」を出版した。「年間を通じて豊富な滋賀の食材の素晴らしさを伝えたい」としている。

 清本さんは大津市出身。高校卒業後に京料理店で修業し、23歳で継いだ家業の旅館を料理店に変更した。滋賀の食材にこだわったメニューに定評があり、今春、黄綬褒章を受章。県日本調理技能士会の会長も務める。

 3年前、新型コロナウイルス禍で店が営業できなかった時期に「今できることに挑戦したい」と写真集づくりを企画した。

 1年間の各月で食材を変え、12種類の懐石料理コースを紹介。炭に見立てた赤こんにゃくを添えた子持ちモロコの焼き物や、熟成後にしょうゆ漬けしたビワマスのにぎりずし、甲賀市で栽培される杉谷なすを器替わりにした近江牛のスライスなどを写した。いずれも店で提供している品々という。

 このほか、陶芸や木工、ガラスなど県内の作家14人の器を使った料理もある。

 それぞれの写真の近くにあるQRコードをスマートフォンで読み込むと、料理方法を日本語と英語の2カ国語で見ることができる。

 清本さんは「滋賀の食材は目立っていないが、季節を問わず大きな魅力がある。本を通じて良さが見直されればうれしい」と話す。

 大手通販サイトや県内の書店で19日に発売を始めた。県内の図書館に寄贈する予定。問い合わせは近江懐石 清元077(578)1340。

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