県教育長「判決重く受け止める」 控訴の有無、近日中に 那須雪崩事故

那須雪崩事故の民事訴訟判決を受けて記者会見する阿久澤教育長=28日午後5時5分、県庁

 那須雪崩事故の民事訴訟で宇都宮地裁が栃木県と県高校体育連盟(高体連)の賠償責任を認める判決を出した28日、阿久澤真理(あくさわしんり)県教育長は県庁で記者会見し、「判決を重く受け止めている」と述べた。再発防止に向け「二度とこのような痛ましい事故が繰り返されないよう一丸となって取り組み続ける」と語った。控訴の有無については「判決内容の詳細を分析して決める。近日中に方向性を出す」とした。

 阿久澤教育長ら県教委関係者は会見の冒頭、「亡くなられた7人の生徒と1人の教員、ご遺族の皆さまに深くおわび申し上げる。誠に申し訳ございませんでした」と深々と頭を下げた。

 訴訟で県側は、組織としての賠償責任や過失を争わなかった。「県としては3講師に限らず、県教委にも責任がある、組織管理的な過失があると述べてきた」とし、改めて責任に言及した。

 死亡した教諭について、判決は「過失は認められない」と判示。主張した過失相殺の適用が退けられたことについては「残念だが、裁判所の判断を重く受け止めたい」と口にした。

 再発防止策の一つとして県教委は3月、事故を受けて策定した「登山計画作成のためのガイドライン」の第2次改訂版を公表し、有資格者を「登山アドバイザー」として帯同させることなどを新たに明記した。阿久澤教育長は「学校教育活動全般の安全管理、危機管理のさらなる充実強化を図っていく」と強調した。

 一方、県高体連の吉成卓(よしなりたかし)会長は、判決を受け「大変重く受け止めている。今後の対応については判決内容を精査した上で検討したい」とのコメントを出した。

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