「踊る警備員」キレキレのパフォーマンスで人や車を誘導 宝塚の警備会社、現役の劇団員集め訓練 兵庫・三田で実演、好評

来場者の駐車をパフォーマンスとかけ声でサポートする「踊る警備員」の阪口亮さん=三田市末

 パフォーマンスで楽しませながら人や車を誘導する「踊る警備員」が先月末、兵庫県三田市内で開催されたガーデニングイベントにやってきた。赤い制服でキレのある動きを見せていたスタッフは、現役の劇団員たちという。(尾仲由莉)

 「踊る警備員」を手がけるのは、同県宝塚市の警備会社「SHOWYA(ショーヤ)」。社長の梶屋都さん(46)は、学生時代に訪れた米ニューヨークで踊りながら交通整理する女性ガードマンに遭遇したという。渋滞でイライラしているドライバーが笑顔になる様子に感銘を受けたといい、2019年に起業した。

 三田市のイベントで「踊る警備員」を務めていたのは、同県西宮市を拠点に活動するアマチュア劇団「劇団スターダスト日本」の座長阪口亮さん(36)と団員の柏木滉介さん(28)。阪口さんが演劇の小道具を自宅で作成しているのを、たまたま隣に住んでいた梶屋社長が見かけて声をかけたという。

 人前でパフォーマンスをするのに慣れていて、表現力がある。劇団員にとっても公演前は稽古でまとまった休みが必要で、単発の仕事がメインの警備員はぴったりだった。

 事業を立ち上げ、会社として初めてパフォーマンス警備の依頼を受けたのが、造園会社「かね庵」(三田市末)のイベント「庭楽育(にわらいく)フェスタ」だったという。ただ、新型コロナウイルス禍で断念。その間は工事現場の交通整理などに従事しながら警備員としての腕を磨き、約3年半越しに雪辱の舞台に臨んだ。

 ダンススクールに監修してもらったという振り付けを織り交ぜ、軽やかにステップを踏みながら車の方向を指示したり、誘導灯をくるくると回したり。安全に配慮しながらも楽しげな雰囲気が伝わってくる。

 かね庵の金田和也代表(50)は「誘導時のトラブルはよく聞くが、今回のイベント時はなく助かっている。来場者も喜んでくれている」。柏木さんは「この3年半で警備の勉強や準備ができ、今のパフォーマンスにつながっている。お客さんに声をかけてもらうとやはりうれしい」と笑顔を見せた。

 「踊る警備員」は今も募集しており、女性も大歓迎という。梶屋社長は「しんどいイメージのある警備業界を明るく楽しく変え、若者たちの夢との両立も応援していきたい」と話している。

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