密着!就任初日の宮下青森県知事 徒歩で登庁、記者会見のスタイル一新

県庁に初登庁し、職員や県議らに出迎えられる宮下知事=29日午前9時41分
後援会メンバーが「AOMORI」の人文字をつくる中、「青森新時代」コールをする関係者=29日午前、むつ市
知事室のいすに座り報道陣に笑顔を見せる宮下知事
臨時庁議に臨む宮下氏
宮下知事就任会見の様子

 「気負いなく、緊張もなく、情熱だけを持ってここに来た」-。知事として初日を迎えた宮下宗一郎氏(44)は29日、知事室でこう口にしたように、自然体で各種公務に臨んだ。20年ぶりにトップが交代した県庁内を、軽やかに、笑顔を絶やさず動き回りながら、職員との関係構築に励んだ。

 宮下新知事の1日は、地元・むつ市から始まった。午前6時半過ぎ、緑町の事務所に姿を見せると、山本知也むつ市長、野崎尚文大間町長、畑中稔朗東通村長や後援会関係者ら約70人から拍手が湧き起こった。妻の悠美さんから襟元に県のバッジをつけてもらい、後援会メンバーが「AOMORI」の人文字をつくる中、「行ってらっしゃい」「頑張れ」の声援を受けて青森市へ出発した。

 午前9時過ぎ、同市長島の事務所に到着すると、支援を受けた市議や後援会関係者ら約40人と握手。「選挙中から訴えてきたことを登庁した瞬間から実行に移す」と述べ、500メートルほど先の県庁に徒歩で向かった。

 同40分、県庁正面玄関で大勢の職員に拍手で出迎えられ、「今日から青森県知事となりました。皆さんと一緒に青森県を発展、前進させたい。県民のために働いていきましょう」と呼びかけた。一角には宮下氏を支持する県議16人も。宮下氏が「青森」と声をかけると「新時代!」と応じた。

 その後、真っすぐ知事室へ。革張りの椅子に座りながら「この席に座ることはほとんどないと思う。全県、全国、全世界を飛び回って県民のため、県政前進のため頑張っていきたい」と決意を語った。

 初の庁議では、各部局長がやや緊張した様子で1人ずつあいさつしたのに対し、「皆さんは20年の長きにわたり、三村申吾前知事の呼吸に合わせて仕事をしてきたので、あうんの呼吸で物事が収まったこともたくさんあったと思う。呼吸が合うまで時間がかかるでしょうが、気長に関係を構築していきたい」と語りかけた。

 昼前には、同じく6月に就任したばかりの西秀記青森市長があいさつに訪れた。面会後の取材に、西市長は「病院統合や洋上風力拠点港整備など、市と県で連携して前に進めることについて話した」と述べた。

 昼食はゼリー飲料で手早く済ませ、午後1時15分から就任記者会見に臨んだ。第三応接室で巨大なテーブルを囲むという従来の形ではなく、白神山地が描かれ、全40市町村章で青森県の形をかたどったマークつきのスクリーンを背景に、立って行うスタイルで記者の質問に答えた。

 その後は県庁北棟で8階から階段で降りながら、同棟の全ての課を訪問。三村前知事の代名詞でもあったトップセールスを担当する県総合販売戦略課では「三村さんのセールスは『見て楽しい』路線だったが、私は『かっこいい』路線に転換しようかな」と話し、職員を笑わせた。

 午後5時、この日の全ての公務が終了。待ち受けた報道陣に「県庁の皆さんがしっかり準備してくれていたので、いいスタートが切れた。県庁の幅広さと奥行きを改めて感じた」。疲れを問う質問には「新しい出会い、新しい仕事ができることへの期待しかない。早くまた明日、仕事がしたい」と言い、秘書とともに徒歩で帰路に就いた。

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