6月2日、台風の影響で静岡県西部では川の堤防が決壊したり、土砂崩れが発生するなど甚大な被害を受けました。まもなく1か月、私たちは被災地へ。住民の生活、道路の復旧は今、どのような状況なのでしょうか?
6月2日、磐田市では台風2号の影響による記録的な大雨で、敷地川の堤防が決壊…。27軒が床上・床下浸水の被害にあいました。あの日から、まもなく1か月。29日、現場を訪れると…。
(清水将光 カメラマン)
「敷地川の決壊現場では、仮の堤防の耐久性を高めるためのブロックや鋼の矢板の設置が完了し、応急復旧工事はまもなく完了するということです」
この“決壊した堤防”は、2022年の台風15号でも決壊しました。そのため、県袋井土木事務所は鉄の板などを使い、より強度を高め、応急復旧工事はほぼ完了しています。
こちらの住宅は、2022年決壊した時と今回の決壊と、2度も床上浸水にあいました。庭の泥の撤去は終わったといいますが家の中は…
(住人)
「(大工が来て)壁を直している途中、障子、ふすまはそのまま、まだまだかかる」
さらに追い打ちをかけるのが“多額の修繕費”。
(住人)
「一番大きのは金銭面で悩んでいる、(去年の決壊から)立て続けに出てく、100万円単位で出ていく」
磐田市では、義援金の受け入れ口座を開設したほか、市役所などに募金箱を設置し、9月29日まで「義援金」を受け付けています。
一方、今もなお住民の生活に大きな影響が出ている地域があります。浜松駅から車で1時間半ほど、270世帯が暮らす浜松市天竜区龍山町です。6月2日の大雨により、重要な生活道路で「土砂崩れ」や「道路の陥没」が発生。28世帯が暮らす龍山町白倉地区は、診療所のほか行政の手続きなどを行う協働センターまで、通常15分ほどですが今も全面通行止めのまま…。迂回路がありますが、道が細い上に1時間ほどかかるのです。29日、その迂回路で白倉に向かう道中では…。
(川口卓也 記者)
「おぉ~車が来たすれ違うのがなかなか大変だね」
車1台がやっと通れる道幅です。住民たちの生活への影響は…。
(白倉地区の住民)
「道が狭くて高齢者や女性は山の中の道なので苦労している、ガソリン代もかかる」
こちらのキャンプ場は、6月いっぱいやむを得ず休業。7月からは営業再開を決めたものの、不安があるといいます。
(龍山秘密村 川道光司さん)
「組数を制限して、来られるお客には、う回路で来てもらえるよう準備中」「このままでは営業として成り立たなくなってしまうので、別のことを考えないといけないと思う」
気になるのは復旧工事の状況です。大型トラックなども多く通る国道152号では、幅30メートル高さ80メートルにわたり斜面が崩れました。
(川口卓也 記者)
「こちら土砂崩れがあった現場です、当初は、あの看板のあたりまで土砂があったということですが、ある程度の搬出が進められています、またこちら、木が積まれていますが、斜面に重機が登っていけるよう斜面の伐採を行っているということです」
今後、重機を導入し、本格的に斜面の復旧工事を進める方針ですが、現場の特徴から難しさもあるようです。
(川口卓也 記者)
「土砂の中には2メートルほどの岩も含まれています、斜面には最大3~4メートルの岩もあり、一つ一つ砕きながら下におろしていて、作業に非常に手間がかかっているということです」
また、100メートルほど離れた住民が生活でよく使う道路でも、土砂崩れが発生しました。すでに土砂は撤去されていましたが、斜面には大きな岩が多く残っていて、通れるのは工事車両のみ…。さらにその奥でも道路が陥没…ここには、未だに大きな「岩やがれき」が残っていて重機を入れることができません。岩を一つ一つ砕いて運び出す作業が続いているのです。
(浜松市道路保全課 加藤貞仁 課長)
「道も狭くて大きなクレーンが入っていける現場ではないので、(岩を)小さくしてから運び出す方法しかとれない」「そういった意味でも非常に大変な現場、市としても1日も早く全力で災害復旧に取り組み、通行再開を目指す」
そして、30日、市は“復旧時期の見通し”を発表。3か所のうち2か所は8月末に応急の復旧工事が終わる予定で、そうすれば、白倉の住民も迂回路を使う必要が無くなります。一方、通行再開まで時間がかかることから、市は迂回路の安全対策を進めるということです。