電動キックボード7月から新ルール 免許不要、16歳未満禁止 県警が事故増加懸念

電動キックボードの正しい乗り方示す宇都宮市の担当者。ヘルメットをかぶって車道の左側を走行する=30日午前、宇都宮市

 改正道交法の施行により1日から、時速20キロ以下の電動キックボードを対象とした新たな交通ルールが適用される。これまでは原動機付き自転車などに分類されていたが、自転車並みの扱いとなり、運転免許は不要に。16歳未満の運転は禁止で、ヘルメットの着用は努力義務となる。手軽な異動手段として県内でも利用増が見込まれる一方、交通事故の増加も懸念され、県警は「ルールを守って正しく乗ってほしい」と注意を呼びかけている。

 6月中旬、宇都宮市中心部にある電動キックボードの貸出場所。慣れた手つきで若者が乗り出していく。便利な移動手段を増やそうと、市は1月からシェアリングサービスの実証実験を行っている。貸出場所は現在、市内に23カ所。計30台導入し、3月末までに1248回の利用があった。

 県警交通企画課によると、新ルールでは最高速度20キロ以下、長さ190センチ以下、幅60センチ以下の電動キックボードを「特定小型原動機付き自転車」と分類。ナンバープレートの装着や自動車損害賠償責任保険への加入が必要だ。原則、車道左側や自転車専用通行帯を走る。電動車いすと同等の最高速度6キロ以下に設定すれば、歩道も通行できる。

 違反は交通反則切符(青切符)と放置違反金制度の対象。酒気帯び運転や信号無視、携帯電話を手にした「ながら運転」などにより相手を死傷させた場合は、自動車運転処罰法違反容疑での立件もあり得る。

 県警によると、6月29日現在、県内で人身事故の発生は確認されていない。警察庁の統計では2020年〜23年1月までに14都府県で76件が発生。22年9月には都内で男性が飲酒後に運転し、転倒して死亡する事故が起きた。

 登下校での高校生の利用も想定され、県教委は6月上旬、県立高に慎重な対応を求めるよう通知を出した。県教委の担当者は「生徒の安全を第一に各学校で対応を検討してもらいたい」と求める。

 県警も事故の増加を懸念する。免許不要となるため、教習所などで交通ルールを学ばないまま乗るケースもあり得る。販売店には購入者への一定の教育を要請しているといい、県警の担当者は「自分もけがをしない、相手にもさせないため、正しいルールを身につけてほしい」と求めている。

電動キックボードの正しい乗り方示す宇都宮市の担当者。ヘルメットをかぶって車道の左側を走行する=30日午前、宇都宮市

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