大雨警報、登頂断念 白山1日夏山開き 世界ジオ御来光、諦めムード

雨風の中、身をすぼめて歩く登山者=30日午後4時半、白山室堂ビジターセンター

  ●1日夜まで土砂災害警戒

 夏山開きを翌日に控えた30日、白山では活発化した梅雨前線の影響で雨が降り続け、登頂を断念する登山者が相次いだ。七尾市は1時間に37.0ミリの激しい雨に見舞われ、珠洲、輪島、白山市、能登、穴水、中能登町とともに大雨警報が発表された。1日も多い所で1時間に40ミリの大雨となる所がある見込みで、金沢地方気象台は夜のはじめ頃にかけて土砂災害に警戒するよう呼び掛けている。

  ●室堂宿泊者わずか24人

 白山室堂ビジターセンター(標高2450メートル)には30日、雨に打たれた登山者がずぶぬれの状態で到着。山開き前日は例年100人以上が宿泊するが、今年の宿泊者は24人にとどまった。あまりの悪天候に登山途中で引き返すグループもあった。

 1日も悪天候が予想されており、白山手取川の世界ジオパーク認定元年を祝う御来光はお預けとなりそうで、宿泊者には諦めムードも。加賀市の河本一男さん(60)は「思った以上に天気が悪い」と疲労感をにじませた。

 白山白川郷ホワイトロードは雨量規制値を超えたため全線通行止めとなった。

  ●七尾1時間37ミリ、氾濫警戒

 平野部では能登地方を中心に雨が強まった。輪島市門前で1時間に18.5ミリ、同市三井で15.5ミリ、珠洲で13.5ミリを観測。輪島市舳倉島では1時間雨量が23.0ミリとなり、6月の最大を更新した。

 午後8時までの24時間降水量が70.0ミリとなった七尾市では、昨年8月の大雨で氾濫した石崎町の浜岡川を中心に複数台の仮設ポンプを稼働させ、警戒に当たった。

 昨夏冠水したJR和倉温泉駅前の交差点付近で飲食店を経営する宮本晋也さん(43)=石崎町=は「水害の不安はあるが、今回は市が早い段階から対策を取ったようで助かる。何も被害がないことを信じたい」と話した。交差点や駐車場で一時的に水がたまった。

  ●志賀、側溝から水あふれる

 志賀町では町役場周辺の国道249号で一時的に側溝の水があふれた。

  ●JR9本運休

 JR北陸線は金沢発の特急サンダーバード、しらさぎの計4本と金沢着の特急1本などが計画運休し、約900人に影響した。七尾線でも特急と普通計4本が運休。7本に遅れが生じ、550人に影響した。

 気象庁によると、1日にかけて低気圧が北日本を通過し、前線が本州付近を南下する。前線に沿って西から流れ込む水蒸気と、日本の南にある高気圧を回る湿った空気が合流し、雨雲が発達しやすい状況になっている。

 気象台は1日午後6時までの24時間予想降水量をいずれも多い所で加賀150ミリ、能登100ミリとみている。5月の地震で揺れの大きかった珠洲市と能登町では、地盤の緩みを考慮して警報発表の基準が引き下げられている。

  ●県警山岳救助隊、注意呼び掛け

 白山国立公園の夏山開きを前に、石川県警山岳遭難救助隊は30日、別当出合の登山口で遭難防止に向けた広報活動を行った。サインカーに「下山時はより一層の注意を」「無理のない計画で安全登山」と表示し、隊員が登山者に注意を呼び掛けた。

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