【高校野球 広島大会・注目校紹介】祖父と孫 60年ぶりの甲子園めざし 呉港高校野球部

高校野球 広島大会が、7月8日に開幕します。甲子園を目指す球児たちの姿を、「つなぐ夏」をテーマに追います。今回は、広島・呉市の呉港高校です。祖父から孫へ―。60年の時を越えてつながる「思い」がありました。

目指すのは、60年ぶりとなる甲子園出場。ことし、その悲願達成に呉港高校が燃えています。

春の県大会では、センバツでベスト4まで進んだ広陵高校を相手に1対3の惜敗。広島の王者にあと一歩と迫った悔しさから、「目指す場所が明確になった」と、キャプテン・大谷健輔 を中心に「守り勝つ全員野球」を磨き続けてきました。

呉港高校 3年 大谷健輔 主将 「手応えは十分感じていて、春に3対1で負けたんですけど、そこで接戦できたからいいやじゃなくて、ここからもう1回、はいあがって、夏を勝負するとチームで話しています。ノックでも “広陵” の選手をイメージしたり、1つのスイングでも “広陵” のピッチャーをイメージしたり、どの練習をするにも “広陵” という言葉をかけてやっています」

そして、その「守り勝つ野球」の原動力となっているのが、層が厚く、バランスの取れた投手陣です。抜群の制球力を持つエースの左腕・加藤猛 。

地元・呉出身で、球威あるストレートが持ち味の 熱海諒 。

春の広陵戦で9回3失点と試合を作った2年生・伊藤光来 。

安定感のある3本柱を軸に、ことしの夏を戦い抜きます。

大谷健輔 主将 「歴史に名を刻んで甲子園に出て、校歌を歌いたいです。最後はうれし涙で終わりたいです」

呉港高校の最後の甲子園は、1963年。60年前に春のセンバツに出場して以来、県大会で涙をのんできました。

そんな中、今のチームには、選手として学校最後の甲子園を駆け抜けたOBがいました。現在、総合コーチを務める 松本正則 さんです。

また、部員には同姓の3年生・松本潤紀がいます。実はこの2人…

呉港高校 松本正則 総合コーチ 「孫です。すばらしい孫…(笑)」

呉港高校 3年 松本潤紀 選手 「自分が打てないときが続いたときは、おじいちゃんからアドバイスしてもらったり、声かけしていただいて気持ちが楽になっています。小さいころからのあこがれで、ずっと野球を教えてくれたのがおじいちゃんなので。すごく人として、野球人として目標になる存在です」

おじいちゃんと孫、そして選手とコーチ。潤紀が小学生になってからはほぼ毎日、二人三脚で練習に励んできたといいます。そして、今のチームで潤紀は、外野の要としてセンターを守り、打撃でもクリーンナップを打ってチームを引っ張る存在になりました。

松本潤紀 選手 「夜、一緒に練習してもらったり、ティーを投げてもらったり、自分が成長できた理由としては、おじいちゃんがいないとここまでは来れなかった」

松本正則 総合コーチ 「『孫と一緒にできるんじゃけえ、ええよね』と言われます。みんな、かなわんことじゃないですか、こういうコーチと選手っていうのはね。だからそれができるのはすごいことじゃと思いますよね」

「甲子園出場」という同じ夢―。今度は、孫とあの場所を目指せる。そして、孫の目標はおじいちゃんを超えること。最後の夏、60年の月日を経て、家族の思いがつながります。

呉港高校 松本正則 総合コーチ 「フルスイングしてほしい。自信を持ってやってくれ」

呉港高校 松本潤紀 選手 「フルスイングして地方大会を勝ち抜いて、甲子園で勝って、おじいちゃんを超えたよと言えるようにがんばりたい」

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