家庭に問題抱える少年に「居場所」を 佐世保の自立援助ホーム 寄り添い、ともに成長する日々

フミト(手前)から近況を聞く江頭ホーム長=佐世保市、自立援助ホーム「未来」

 家庭環境に問題を抱え、居場所がない少年を受け入れる施設の一つに「自立援助ホーム」がある。中には犯罪行為をした少年もいて、職員らが立ち直りを支える。佐世保市の「未来」(定員6人)ホーム長の江頭和徳(40)は、犯した罪と向き合うよう促しつつ「人生はやり直せる」と少年に寄り添っている。
 自立援助ホームは、児童福祉法に基づく入所型の施設。家庭で暮らすことができない事情を抱えた、義務教育終了後から20歳未満までを原則に、生活の場を提供し、自立を支援する。県内に5カ所ある。
 2019年12月から3年間、「未来」で暮らしたフミト(20)=仮名=は両親のしつけが厳しく、父親からは体罰を受けた。「お菓子が買いたい」とも言い出せず、中学生になって万引を繰り返すように。警察に補導されても衝動を抑えることができず、ついには高校で同級生の財布を盗み、家裁の少年審判で保護観察処分に。高校は中退した。
 「未来」では共同生活を送り、食事の準備や掃除など役割を分担。携帯電話の使用時間など自分たちでルールを決めている。フミトは「不自由なところもあるし、人付き合いが苦手で最初は慣れるのに時間がかかった」と話す。
 そうした中で高卒資格の取得を目標にアルバイトをしながら、勉強に励むようになった。今は1人暮らしをしているが「困ったことがあると江頭さんに相談している」と信頼を寄せる。
 「未来」は19年7月の開設以来、21人を受け入れてきた。「無人島で1週間過ごした」「公園で暮らしていた」。ネグレクト(育児放棄)など家庭内でさまざまな問題を抱える少年たちの「居場所」になりたい。そう考える江頭は「一緒に成長したい」と少年たちとともに歩みを進める。=文中敬称略=

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