大野藩の偉人、内山良休を描いた絶版小説リニューアル 福井県大野市のグループ、冊子作り歴史に光

土藏清治校長(左)に「そろばん武士道」の新装版を手渡す塗茂清治代表(右)=6月5日、福井県の大野市尚徳中学校

 福井県大野市の市民グループ「魅せる城下町を創造する会」が同市の幕末の偉人、内山良休の生涯を描いた歴史小説「そろばん武士道」の新装版「越前大野丸」を発行し、地元の学校に配布する取り組みを行っている。同会は「子どもたちが良休について学び、大野に誇りを持つきっかけになってほしい」としている。

 「そろばん武士道」は福井市出身の作家、故大島昌宏さんの著書。良休が大野藩の産物を販売する藩営店「大野屋」を各地で展開し、藩の帆船「大野丸」で各藩営店に産物を運び蝦夷地開拓や外国貿易を行うなどし藩の財政を立て直すストーリー。

 小説は絶版となっており、同会の塗茂ひろ美代表が「偉業を伝える小説が読めなくなるのは忍びない。良休は貿易に熱心で、広い視野を持っていたことを強調したい」と2年ほど前に新装版製作を立案。「越前大野丸」と改題するなどし昨年11月にA4判192ページの冊子千部を発行。同12月には大野市内の小中高校16校と大島さんの母校藤島高校に計290冊を寄贈した。

 6月5日、大野市尚徳中学校で寄贈を記念する贈呈式があり、塗茂代表が土藏清治校長にあらためて数冊を手渡した。土藏校長は「子どもたちがふるさとの歴史を学ぶ手助けになる」と感謝し、塗茂代表は「小さな大野藩がスケールの大きな貿易や事業に取り組んでいたことを感じてもらい、大きな志を子どもたちに持ってもらいたい」と話した。

 同会は6月28日、福井県特化したクラウドファンディング(CF)サービス「ミラカナ」で今回の発行費用60万円の募集を開始した。

 ◇ミラカナとは 福井県に特化したクラウドファンディング(CF)サービス。県内でプロジェクトを始める人の資金調達を応援するプラットフォームとして福井新聞社、福井銀行、福邦銀行が連携。CFのレディーフォー、応援購入サービスのマクアケいずれかを通じて支援・購入を募る。累計支援額は1億7千万円、プロジェクトの達成率は92%(数字は2023年3月末時点)。

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