県内大雨 1時間で玄関に水 七尾・中島で床下浸水

近くの排水路があふれて床下浸水した住宅=1日午前10時10分、七尾市中島町豊田

  ●能登町では裏山土砂崩れ「心配」

 「あと少しで家に水が入るところだった」。前日から降り続く大雨の影響で土砂災害警戒情報が出された七尾市では、熊木川や排水路があふれ、床下浸水が発生した。道路は冠水して通行止めとなり、避難指示が出された。能登町では民家の裏山が崩れる土砂災害が確認された。5年前の大雨を思い出す避難住民もおり「怖い思い出がよみがえった」と不安そうに話した。

 七尾市の熊木川では一時、水位が氾濫危険水位を超えた。七尾市中島町豊田の山岸やす江さん(91)方では、午前7時ごろから雨が強まり、日用川の排水路があふれ、床下浸水した。庭や玄関に押し寄せた水の高さが一時約50センチに達し、山岸さんは「1時間ほどで玄関が水でいっぱいになった。あと少しで家の中まで水が入るところだった」と慌てた様子で話した。

 一人暮らしの山岸さんを支援するため近所の住民6人が駆け付け、急いで畳を外したり、家具を移動させたりした。山岸さんは「すぐに来てくれて本当にありがたい」と感謝した。

 山岸さん方は過去にも大雨による床下浸水の被害を受けたことがあり、西井清町会長(68)は「朝から心配になって警戒していた。近くに住む人に声を掛けて集まってもらった。これからも地域で助け合いながら災害に備えたい」と話した。

 能登町柿生では井口知恵子さん(74)方の裏山が崩れた。

 井口さんによると、居間で新聞を読み終え、外を見たところ、土砂や木が崩れ落ちているのを見つけ、区長を通じて町に届けた。

 井口さんは「音はしなかったが、さらに崩れる可能性があるので心配。万一に備え、裏山から離れた部屋で過ごしたい」と話した。

 市は洪水浸水想定区域の住民に早急な避難を求め、自宅が安全であれば無理に移動せず、在宅で安全を確保するよう防災無線やメールなどで呼び掛けた。

  ■七尾市が開設した避難所

 中島体育館、中島コミュニティセンター熊木、西岸、釶打(なたうち)、豊川、笠師保の各分館、旧北嶺中、田鶴浜地区コミュニティセンター、田鶴浜地区コミュニティセンター相馬分館、東湊地区コミュニティセンター、高階地区コミュニティセンター、北大呑地区コミュニティセンター

大雨で土砂が崩れた民家の裏山=1日午前10時50分、能登町柿生

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