七尾・中島、2河川氾濫 1万4141人に一時避難指示 県内大雨

日用川が氾濫し、水浸しになった田や畑=1日午後3時20分、七尾市中島町奥吉田(ドローンから)

  ●熊木川と日用川

 石川県内は1日、前線が北陸地方を南下した影響で前日からの雨が続き、七尾市中島地区では熊木川と日用川が氾濫し、道路や田が冠水、住宅1棟が床下浸水した。七尾市では午前6時15分までの1時間に31.5ミリを観測する激しい雨となり、市は13地区の5814世帯1万4141人に避難指示を出し、12カ所に避難所を開設した。能登町や穴水町では斜面が崩れているのが見つかった。けが人はいなかった。

  ●床下浸水1棟

 七尾市中島地区の熊木川の加茂橋では、水位が氾濫危険水位の2.7メートルを超える3.22メートルとなった。県は1日午前7時20分ごろ、熊木川で、堤防のない場所から水があふれる「溢水(いっすい)」と呼ばれる氾濫が発生し、農地に流れ込んでいるのを確認した。日用川もほぼ同じころ溢水した。市内では冠水や土砂崩れで、県道と市道の13区間が通行止めとなった。

 七尾市は1日午前7時半から、洪水、土砂崩れの危険が高まっているとし、中島、崎山、田鶴浜など13地区の住民に段階的に避難指示を出し、午後3時半に解除した。中島の避難所2カ所で計9人が身を寄せた。市は自宅が安全であれば無理に移動せず、在宅で安全を確保するよう防災無線やメールで呼び掛けた。

  ●能登、穴水で土砂崩れ

 能登町柿生では、高さ約40メートルの住宅の裏山が幅約2メートルにわたって崩れた。穴水町山中の民家の裏山の一部が崩れたほか、川島の国道249号と梶の県道を倒木がふさいだ。穴水町河内の県道は倒木で通行止めとなった。

  ●七尾線、のと鉄道47本運休

 JR七尾線は特急14本と普通列車29本が運休し、約2150人に影響し、のと鉄道は4本が運休した。いずれも同日中に全線で運転を再開した。

 県は1日、雨のため白山白川郷ホワイトロードの無料区間と有料区間を通行止めとした。

 6月27日午後7時から1日午後4時までの降水量は志賀187.5ミリ、七尾177.5ミリ、白山市白峰128.5ミリ、輪島市門前114.5ミリ、宝達志水111.5ミリ、輪島市三井109.5ミリとなった。

 金沢地方気象台は、七尾市と能登町に土砂災害警戒情報、白山、七尾、輪島、珠洲、志賀、中能登、能登、穴水の8市町に大雨警報、七尾市に洪水警報を出した。

 2日午後6時までに予想される24時間降水量は加賀地方50ミリ、能登地方30ミリ。気象台は雨で地盤が緩んでいる恐れがあり、土砂災害に警戒するよう呼び掛けた。2日の県内は高気圧に覆われて晴れる。

 ★避難指示 災害の恐れが高まった際、危険な場所にいる全ての人にすぐ避難するよう呼び掛ける情報。5段階ある警戒レベルのうち、2番目に高いレベル4に当たり、市町村が発令する。改正災害対策基本法が2021年に施行され、それまでの避難勧告を廃止し、避難指示に一本化した。

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