江戸時代の藩主の思いやり伝わる丸焼きサバ…7月2日は「半夏生」 風習残る福井県大野市の鮮魚店に香り漂う

炭火でこんがり焼き上がったサバ=7月1日、福井県大野市明倫町の鮮魚・飲食店「うおまさcafe」

 夏至から数えて11日目の7月2日は「半夏生」。この日にサバの丸焼きを食べる風習が残る福井県大野市では1日、鮮魚店の店頭から炭火を使ってサバを焼く香ばしい匂いが漂った。

 風習は、江戸時代に大野藩の藩主が農作業で疲れた領民を思いやり、藩の飛び地があった越前海岸で水揚げされたサバを丸焼きにして食べさせたのが始まりとされる。地域に根付く食文化を継承・PRする文化庁の「100年フード」に認定されている。

 同市明倫町の鮮魚・飲食店「うおまさcafe」では、3代目店主の山本恭子さん(46)らが約40センチほどのサバをオーブンでよく火を通した後、軒先の焼き台の炭火の上で一本一本丁寧にふっくらと焼き上げていった。同店では3日まで予約制で販売し、県外発送を含め計千本を仕上げる。

 家族のために買いに来た市内の男性(82)は「自分が幼いころからある大野の伝統。孫にも大切に伝えていきたい」と話した。

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