夏の甲子園県予選特集 注目校紹介(3) 成功体験が勢いを生んだ大分舞鶴が上り調子 【大分県】

高校球児の熱い夏がやってきた。憧れの甲子園を目指し、第105回全国高校野球選手権の県予選が7月8日に幕を開ける。大会序盤から激戦は必至、実力伯仲のトーナメントの頂点に立つのはどのチームなのか。大会を前に、優勝候補となるシード校を紹介する。

第3回は直近の県大会で2度優勝し、勢いに乗る大分舞鶴。

4月の九州地区高校野球大会県予選、5月の県高校野球選手権大会で優勝し、勢いはある。けが人も続々と復帰。河室聖司監督は「今が一番、戦力が整っている」と充実感をにじませる。今年のチームは例年に比べるとコールド勝ちが少ないが、ロースコアで勝ち切れる投手力と守備力、勝負強さが光る打力のバランスがいい。

投手の一番手は、制球力があり、安定感抜群の渡辺蒼汰(3年)。河室監督が「ボール球を意図的に投げることができる」と絶賛する投球術で試合をつくる。練習試合を含め、3月から87イニングを投げて、防御率1.86はチーム随一。続く野上龍哉(同)は三振が取れる力強い投球を持ち味とし、5月以降は制球が安定して先発マウンドに立つことが増えた。この2人を柱に、左の糸永遼太郎(同)や下級生が加わる。基本は継投となるが「夏は一戦必勝。次の試合のことなんて考えられない」と河室監督。調子のいい選手に試合を託す場面が増えるかもしれない。

打線の爆発力が優勝のカギを握る

打線は、昨春のセンバツ甲子園で先発に名を連ねた後藤駿太、児玉陽悠、阿部泰己、糸永の3年生4人がカギを握る。新チームになってから、4人の誰かが勝負を決める一本を打って勝ち上がることが多かったが、「(4人が)シンクロすることはほとんどなかった」と河室監督。「夏の大会は打てなければ勝てない。圧倒的な攻撃で相手をねじ伏せる気持ちが必要」と爆発力を期待する。大会初戦までに打線のピークを持ってこられるように、練習時間のほとんどはバッティングに費やす。起爆剤の役割を担う児玉は「(バッティングの)内容なんて関係ない。とにかく打って、序盤から勝負を決めたい」と覚悟を口にした。

全国高校野球選手権の県予選では昨年、一昨年と準優勝に終わり、あと一歩のところで甲子園出場を逃した。ただ、今年に入って宿敵・明豊に勝利して県大会で優勝するなど「成功体験」がある。「どの高校に対しても苦手意識はない。先輩たちの思いも背負って優勝し、甲子園での1勝を目指す」。キャプテン後藤の言葉が選手全員の気持ちを代弁していた。

安定感抜群の渡辺蒼汰

(柚野真也)

© オー!エス! OITA SPORTS