ふるさとの港描き60年 元国見中校長・山中さん 雲仙ビードロ美術館で個展

油彩画「憩う」の前で「奥が土黒川の下流です」と説明する山中さん=雲仙市、雲仙ビードロ美術館

 元国見中校長で雲仙市国見町の画家、山中凱和(よしかず)さん(82)の画業60年を振り返る個展が1日、同市小浜町の雲仙ビードロ美術館で始まった。開幕式で山中さんは「回顧展ではなく、今後へと進むきっかけにしたい。まだまだ満足していない。もっと伸びしろがあるんじゃないか」と、訪れた美術関係者や市民ら約60人に描き続けることを宣言した。9月30日まで。
 会場には、戦死した父に代わって漁師だった祖父に育てられた原体験から、ふるさとの港を中心とした風景画約45点が並ぶ。日洋会会員に推挙された「憩う」(2006年制作)は、国見町の土黒港に停泊する漁船をキャンバスに収めた。
 山中さんは南高神代村(現・同市国見町神代)生まれ。県内の教会を描いた「長崎の聖堂シリーズ」で知られる洋画家、故山中清一郎さんから長崎大で美術を学び、美術教師として県内の中学校で教えた。1979年、日洋展初入選。96年に島原半島美術振興会設立に参加した。現在も中央画壇に出品し、地元で後進の指導に当たっている。日洋会会員、県美術協会名誉会員。
 山中清一郎さんに師事した島原市有明町の画家、佐藤利宗さん(85)は「漁船、漁港を一貫して追いかける姿勢に感服。人柄の温かみが伝わる」と個展の感想を語った。
 同館の入館料は大人700円、中高生500円、小学生300円。水曜休館。

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