見える、生活や食文化 山形市・支出全国トップに炭酸飲料、スポーツドリンクも

飲み物のペットボトルを箱売りしているコーナー=山形市

 国の家計調査による1世帯当たりの年間支出金額(2020~22年の平均)で、山形市が全国トップとなった13品目に「炭酸飲料」「スポーツドリンク」がある。“常連”の中華そば(外食)と比べると意外な印象も与えるが、2品目の全国1位は2回連続。なぜだろうか。小売店や専門家に聞くと生活や購買行動の特徴、食文化との関連が見えてくる。

 県のまとめによると、山形市が首位の13品目、年間支出額、全国平均は表の通り。炭酸飲料は全国平均を3千円以上上回り、スポーツドリンクは平均に比べ600円以上高かった。

 山形市のスーパー・ヤマザワ北町店は店内に飲料の箱売りコーナーを設けている。同社は宮城、秋田両県でも店舗展開し、「山形市を中心に本県は箱での消費量が多い」と担当者。考えられる要因の一つに車社会を挙げ、「山形は自動車の世帯保有台数が全国上位。車に積み、まとめ買いしやすいのでは」と推察する。

 食文化が背景にあるとの指摘もある。データ解析に取り組む実験心理学者の松田浩平東北文教大教授は、炭酸飲料消費との相関関係を調べた。「主に味付けの好みによって消費支出は変化する」とし「しょうゆと砂糖が多い濃い味付けを好む地域では、緑茶よりも炭酸飲料の消費量が多い」との分析結果を示した。

 山形市は中華そばが10回連続トップで、芋煮材料のサトイモ、こんにゃく、しょうゆも連続首位。中華そばも芋煮も味付けが濃い部類。米沢栄養大の北林蒔子教授(公衆栄養学)は「1位品目には関連性があるのではないか」と話し、爽快感を求め炭酸飲料やスポーツドリンクに手が伸びやすいと分析する。また本県は3世代同居率が高く、「祖父母が孫にジュースを与えやすい環境」とも話す。

 一方で北林教授は、清涼飲料水などは砂糖やナトリウムの過剰摂取につながる可能性も指摘。脱水症状を防ぐ「経口補水液」も含め多様な飲料が販売されており、購入者は商品の表示を十分に確認することが望ましいという。

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