「アメリカザリガニ」増えすぎ放流禁止に アカミミガメも 違反者に罰則 生態系に影響「条件付き」規制種に

放流の禁止を呼びかける神戸市のポスター=神戸市中央区加納町6

 昭和の子どもたちに人気を誇った生き物2種が今年6月から、野外放流禁止になった。「アメリカザリガニ」と「アカミミガメ(ミドリガメ)」。いずれも外国から持ち込まれたが、あまりに増えすぎて生態系を乱したため、環境省が前例のない「条件付き」規制種に指定、放流や販売ができなくなった。違反した場合は罰則が科される。注意したい。

 同省によると、大きなハサミが特徴のアメリカザリガニは1920年代、食用ウシガエルのえさとして輸入された。それが養殖池から逃げ出して繁殖に繁殖を重ね、全国どこの川や池でも「ザリガニ釣り」ができる状態に。しかし、水生植物や昆虫を食い荒らす被害が絶えなかった。

 アカミミガメも50年代、「ミドリガメ」として輸入された幼体が縁日などでペットとして売られた。飼えなくなった人たちが放流したことで川などに住み着き、在来種の生息地を奪って爆発的に増加。同省の2016年の発表では、全国に約800万匹が生息すると推定されている。

 この2種は今も家庭で飼っている人が多く、飼育すらもできない「特定外来生物」に指定すると、逆に川などに捨てるケースが増えかねない。そのため、同省は過去に例のない「条件付特定外来生物」として、飼育は可能とした。ほかに捕獲や無償譲渡も従来通り可能。一方で放流や販売、購入などが禁止された。ゆえに捕獲して持ち帰ったら、もう捨てられなくなる。

 違反した場合は最大で3年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科される。

 万が一、飼い続けることが難しくなった場合は、自身で引き取ってくれる人を探すしかない。兵庫県内では、神戸市や明石市、丹波篠山市などがアカミミガメに限り、回収を受け付けている。神戸市は駆除に取り組む団体に補助金も交付している。

 神戸市環境局の担当者は「どうしても飼育が難しい場合は引き取るが、環境省のマニュアルに従って殺処分することになる。原則は最後まで責任を持って寿命まで飼育してほししい」と呼びかけている。

 環境省はアメリカザリガニ・アカミミガメ相談ダイヤル(TEL0570.013.110)を設置。問い合わせに応じている。(井沢泰斗)

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