ネギ畑冠水「悔しい」 排水追いつかず農家悲痛 河川氾濫の七尾・中島

冠水したネギ畑から排水ポンプを使って泥水を取り除く生産者=2日午前9時50分、七尾市中島町河崎

  ●床下浸水5棟に

 能登を中心に降り続いた大雨から一夜明けた2日、熊木川、日用川が氾濫した七尾市中島地区では住宅の床下浸水が新たに4棟判明して計5棟となった。冠水被害を受けた地区内の農地では、ネギやカボチャが泥水に漬かり、生産者が「自然にはかなわない。それでも悔しい」と悲痛な声を上げて流れ着いた木の枝などを取り除いた。

 2日午前、中島町河崎では泥水が残る畑で、30代男性の生産者が収穫への影響を懸念しながら復旧作業に当たっていた。約3万本のネギを育てる畑の畝には濁水がたまったままで、2台のポンプをフル稼働させて吸い出していた。

 1日午前6時ごろに近くの日用川の水が畑に流れ込んでいることに気付き、急いで排水ポンプをつなげたものの、次第に追いつかなくなったという。カボチャ200株も同じように泥水をかぶり、根腐れしないかと不安そうに話した。「とにかく今はできることを頑張りたい」と黙々と作業を続けた。

 冠水した近くの水田では井田幸長さん(50)=中島町河崎=が苗に引っかかった草や木の枝、土砂を取り除く作業に汗を流した。井田さんは収量に影響はないとしながらも「もし穂が出た時だったら、だめになっていた」と眉をひそめた。

 七尾市が2日午後5時までにまとめた被害状況によると、中島町では谷内で2棟、豊田、小牧(おまき)、中島で各1棟が床下浸水した。自宅が床下浸水した1人暮らしの山岸やす江さん(91)=中島町豊田=は、近所の人や家族が泥を洗い流してくれたことに感謝し「皆さんのおかげできれいになった」と喜んだ。

 市のまとめでは、中島地区と能登島の農道計5カ所でのり面崩落が見つかった。このほか、深見町で水田、中島町河内で用水のそれぞれのり面が崩落し、水路の損壊なども確認された。

  ●七尾の通行止め、県市道4カ所に

 石川県は2日、七尾市と穴水町の県道3路線で実施していた通行止めを段階的に解除し、残りは七尾市能登島向田町―能登島祖母(ば)ケ浦(がうら)町の1カ所になったと発表した。市道は3カ所で通行止めが続いている。いずれも迂回路がある。白山白川郷ホワイトロードの通行止めは解除された。

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