中国の電気自動車乗り比べ ④コンパクトカー編

コンパクトカー編 テスラ(モデル3)

このたび、中国国内の自動車事情について知るため、自動車メーカー各社および開発区域に出向いて試乗体験をし、それぞれの自動車の乗り心地を比較するという試みをしてみました。各社の自動車乗り比べを通し感じたこと、および中国国内の現状をご報告させていただきます。

当レポートは、セダン編・SUV編・ミニバン編・コンパクトカー編・タクシー編・まとめ編に分けており、今回は4回目、コンパクトカー編をお届けします。

4台目は、日本でも有名なテスラ(モデル3)です。ここ数年で飛躍的に成長している自動車メーカーであり、自動車業界にとって脅威的な存在。そんなテスラの自動運転機能がどのようなものかを試してきました。

この日、販売店に出向いたのですが、他メーカーの販売店と比較し来店客が多いように感じました。(この日だけかもしれませんが。)店員さんによると、中国におけるテスラ車の値段は世界で一番低いそうで、高級車という部類であると同時に、庶民的にも非常に人気があるとのことでした。スマートフォン業界でいうところのアップル的存在、と仰っておられました。

今回、試乗したのはモデル3です。車高は低く、コンパクトでした。内装はかなりシンプル。パネルは小さく、ボタンもほとんどありません。スマートフォンを使って乗車前に空調の準備をしておくことができたり、クラクションを鳴らし車の位置を確認することができます。乗り心地については、安定感あり快適でした。

自動運転についてですが、試しにシステムを作動させてくれました。車には8台のカメラが搭載されており、他社の車と同じように、前の車に付いていく追従システムは誤作動なくしっかりと働きます。ただし、交差点ではやはり信号を認識することができないため、赤信号だったとしても止まらず進むそうで、ここでは人の手が必要になります。他社と同じでした。車線変更の際は、速度を落とすことなくサッと変更しました(少し怖い気がしましたが…)。すごく素早く車線変更したな、という印象が強かったです。加速時は非常に加速スピードが速かったです。

他社との比較ですが、低価格のBYDと比べる人が多い。しかし比較した結果、最終的にテスラを選択する顧客が多いそうです。走行距離が長く、コストパフォーマンスが良い。そして私が感動していた1台目試乗のNIO電池交換の仕組みはテスラが放棄したアイデアですが、放棄した理由はコストが大きすぎるため、とのことでした。

ここで販売員さんの個人的な意見を尋ねてみると、「自動運転の技術としては他社のどのモデルよりも優れている、完全に車に運転を任せる技術もある。ただし、法律で禁止されているからその機能を使えないだけ。」と自信をもって言っておられました。米国では既に公道で自動運転機能を利用できる法整備が整っているそうです。中国における課題である「信号を認識できない問題」も、米国では信号認識機能がシステムに組み込まれており、テスラ車もしっかりその機能を使って走行している現状とのこと。また、その販売員さんにテスラのデメリットは何だと思うかと聞くと、「百度のナビゲーションシステムが時々おかしくなることがある。それ以外はない。」と即答されました。現在のシステムでは百度のナビしか使うことができず、現在、テスラのナビ機能は百度に頼らざるを得ないということ。そこが改善すればもっと正確な自動運転につながるかもしれない、とのことでした。その他、現在手動で行っている操作が自動化すればもっといい、と仰っていました。

現在のテスラ車は、技術としては相当高い自動運転レベルであるが、『法律による規制』の存在だけがそれを利用できない理由だそうです。確かに、乗った感じも自動運転が実現できるような気がしました。未来に法律の規制緩和がされるのが待ち遠しいですね。

個人的には、これまでの4台の乗用車の中で、乗り心地が一番良かったです!

以上、第1‐4回では現在時点で販売されている各種乗用車の紹介をさせていただきました。

次は、実用化に向けた実験をしている試験区に出向き、タクシーに乗ってみようと思います。

次回タクシー編につづく。

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