タクシー値上げ審査開始 関東運輸局、県内冬にも新運賃

 国土交通省関東運輸局は3日、県内のタクシー業者から申請があった運賃改定について、審査を開始すると発表した。県タクシー協会は初乗り運賃を現行の「1.1キロ500円」から「910メートル500円」へ値上げしたい考えで、運転手の労働条件の改善が狙い。同運輸局は冬ごろまで審査し、新運賃を公示する。県全域の運賃体系の見直しは2020年以来3年ぶり。

 同運輸局や同協会によると、運賃改定を申請する業者が3カ月以内に車両ベースで7割を超えると、同運輸局が審査に入る。同協会には約90社が加盟。4月に宇都宮市内の業者が最初の申請をした。その後、6月30日時点で65社から、県内全体の計1653台のうち、約8割に当たる1314台分の申請があった。

 加算運賃の改定も申請している。初乗り以降は現行が271メートルごとに100円で、新運賃は225メートルごとに100円の加算を見込む。同運輸局は初乗り運賃とともに、改定率が適正かどうかを判断する。

 運賃改定の背景には、増収分を運転手らの賃金に反映し、労働条件を改善する狙いがある。新型コロナウイルス禍で離職者が増え、高齢化も進んでいる。22年度の県内運転手の年間給与は平均約347万円で、全国平均の約361万円より低かった。

 同協会の担当者は「コロナ禍や燃料価格の高騰などで業界は厳しい状況にある。運転手のなり手を確保するため、増収により職場環境を整えたい」と語った。

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