医療・福祉の食、安定供給 山形給食センター、メディカル部門を強化

メディカル部門を強化する山形給食センター=山形市北町3丁目

 山形給食センター(山形市、吉田真一郎代表理事)は、病院や福祉施設の委託給食を手がけるメディカル部門を強化し、事業を集中させる。新たに急速冷却機器を導入し、来春の稼働を目指す。センターで事前に調理した食事と、現地でスタッフが調理した分とを組み合わせ、医療・福祉現場の食を安定的に供給する。事業所などへの弁当配食は天童給食センターに事業譲渡する。

 山形給食センターは「デーリック」の愛称で知られ、メディカル部門のほか、事業所の食堂運営や弁当製造販売などのデーリー部門を展開している。メディカル部門は村山地域約20カ所で1日当たり計約1万食を提供。請負先の調理場で嚥下(えんげ)食などのニーズに合わせて3食を調理し、地元食材を取り入れた山菜の煮物、だし、芋煮、納豆汁などの郷土料理も豊富だ。

 売り上げの7割ほどを占めるメディカル部門に経営資源を集中するため、調理後に急速冷却して品質保持し、提供時に再加熱する「クックチル」の製法を取り入れる。既存の弁当工場をセントラルキッチンとし、急速冷却機器を導入する。工場内の機器入れ替えや試作などを行い、来春の提供開始を目指す。作業の効率化で現場の人材不足を補いながら、途切れることなく提供する。朝食はクックチル、昼食と夕食は現地でスタッフが調理した食事を想定している。

 病院・福祉施設の給食を請け負う数少ない地元資本として「地産地消を生かしながら、生きていく上で大切な食を守りたい」と担当者。事業所への弁当配食は7月末までで、8月1日の受け付け分からは天童給食センターが提供する。デーリックは、事業所向け弁当供給を目的に1963(昭和38)年に協同組合として発足した。

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