「本物」の音楽、入所者に 東根の老人ホームでコンサート

指揮を執る山形交響楽団創立名誉指揮者の村川千秋さん(中央)=東根市・「医療特選多機能住宅 さぎの森モルダ」

 東根市の住宅型有料老人ホーム「医療特選多機能住宅 さぎの森モルダ」で4日、山形交響楽団の創立名誉指揮者・村川千秋さん(90)を指揮者とした天童市内のコーラスグループ「森の木の実コーラス」のコンサートが開かれた。入所者に「本物」の音楽を楽しんでもらおうと、村川さんに依頼。村川さんはタクトを振るとともに、楽団創立の経緯や芸術への思いを熱く語った。

 同施設は医療法人延世会(金村應文理事長)が運営し、先月オープンした医療特化型の老人ホーム。ホールでのこけら落とし公演として、同施設の働きかけで村川さん指揮のコンサートが実現した。

 演奏を前に司会者から紹介された村川さんは1972(昭和47)年、東北初のプロオーケストラ・山響を創立した経緯を紹介。「都会、地方にかかわらず音楽や美術、演劇、小説といった芸術は大切なもの。地方のオーケストラである山響は最先端を行く楽団を目指している」と続けた。1月に90歳を迎えた自身については「少しでも山形の芸術に貢献していきたい」と音楽への飽くなき思いを吐露した。

 コンサートでは入所者約30人を前に混声合唱などの10曲を披露した。村川さんは自身が作曲した「森の木の実になれたのは」「さくらんぼ」の2曲を指揮し、繊細かつ核心部ではダイナミックに躍動する動きで万雷の拍手を受けた。村川さんからの「芸術は難しいものではない」の呼びかけに応じた利用者は「七夕」「きらきらぼし」などの歌では手拍子をするなどして存分に楽しんでいた。

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