常に狙われている…全国初!警察が教える情報流出時の対処法訓練 埼玉の特殊銅合金メーカーで実施

ヒアリング訓練で状況を説明する大和合金の社員=6月29日、埼玉県三芳町の同社三芳工場

 技術情報流出被害時の対応を学んでもらおうと、埼玉県警外事課と公安1課などは6月29日、三芳町の特殊銅合金メーカー「大和合金」三芳工場で対処訓練とセミナーを実施した。

 訓練では企業の商品データが海外サイトに流出した技術情報流出容疑事案を想定し、警察への通報、事情聴取、証拠保全などの一連の流れを確認した。同社の萩野源次郎社長は「もし技術が流出した場合、われわれが独自に開発したものが利用され、技術が陳腐化されてしまうリスクがある」と懸念し「常に外から狙われているという認識で行動することの大切さを学んだ。避難訓練などと同様に、訓練を重ねていきたい」と気を引き締めた。

 県警は、昨春の組織改編で企業などが保有する先端技術情報の流出防止対策を強化するため、外事課に経済安全保障対策を担当する係を新設。これまでは被害の未然防止を図ろうと、具体的な手口や対策などを情報提供する活動が主流で、技術情報が流出した場合の対処訓練は全国で初めてだという。

 外事課の高橋武課長は「企業と警察の関係深化は犯罪防止に大きく貢献すると思う。引き続き、社員の皆さんには危機意識の醸成をお願いし、このような訓練の実施を行いたい」と話した。

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