珠洲・廃業ホテルの内装を一新 金沢美大生が協力 来年2月再オープン

現地調査に訪れた金沢美大生=珠洲市上戸町南方

  ●里山里海イメージ

 能登の里山里海をイメージした内装のホテルが来年2月、珠洲市上戸町南方に開業する。約10年前に廃業したホテルを活用し、若者にも親しんでもらえるよう、金沢美大の4年生5人がデザインした。5月の最大震度6強の地震から5日で2カ月を迎え、風評被害が懸念される中、学生は「珠洲の魅力が詰まったホテルで、多くの人に利用してほしい」と話している。

 新たなホテルは旧「ホテル能登路」を改装する。鉄骨2階建て、延べ床面積349平方メートルで、客室は船室をイメージした円窓を採用し、内装にはキリコの絵柄の障子のほか、珪藻土(けいそうど)や能登ヒバをふんだんに取り入れる。

 ホテルを所有する三百苅(さんびゃくがり)卓明さん(61)=同市正院町小路=が若い世代が手頃に泊まれる場所がないことから、両親が経営していたホテルを再利用することを考えた。珠洲ならではのデザインにしようと、昨年8月に大学の地域連携ワークショップで珠洲を訪れていた金沢美大生に協力を依頼した。

 価格は若者でも手の届きやすい1泊5千円(税込み)にすることを想定し、従業員を配置しない無人ホテルとして、チェックインや支払いはスマートフォンで行ってもらう。1階には飲食スペースとして貸し出すことも検討している。

 新たなホテルの名称は「のとのわ」とし、観光客の輪が広がってほしいとの願いを込めた。8月から改修工事を進める。三百苅さんは「地震もあったが、珠洲の魅力を発信し、観光客が増えることに期待したい」と話した。

金沢美大生が考案した客室のイメージ

© 株式会社北國新聞社