金箔に打撃 金高騰、過去最高値を更新

金箔を製造する職人。原料となる金の価格が高騰している=2022年1月、金沢市内

  ●金沢、値上げも賄えず  

 金の価格高騰を受け、金(きん)箔(ぱく)の産地である金沢のメーカーが対応に苦慮している。有事の安全資産とされる金は上昇傾向が続き、5日の国内の小売価格は過去最高を更新した。メーカー側は、金箔の値上げに踏み切っても原料価格の上昇分を賄えず、利益を圧迫される状況となっている。訪日客が増加する中、各社は土産物の需要の高まりに期待を込める。

 地金大手の田中貴金属工業(東京)は5日、1グラム当たりの金の店頭販売価格を、前日比21円高の9886円に設定した。外国為替市場で円安ドル高傾向が続いているためで、過去最高値を記録した。1年前の昨年7月は、1グラム当たり7699円だった。

 金箔メーカーの今井金箔(金沢市)は、金の価格上昇に合わせて値上げに踏み切っており、担当者は「価格を上げないと厳しい」と話した。金箔は仏壇や食品、化粧品などに使われているが、金箔の使用量を抑えている取引先もあるという。

 他のメーカーや店舗でも、製品価格や箔貼り体験のメニューなどの値上げに踏み切るケースが見られる。

 石川県箔商工業協同組合によると、金価格の上昇幅が大きすぎて、価格転嫁しても追いつかない状況が続いている。作田一則理事長は「値上げしたい思いはあっても、金箔の需要が減ってしまってはどうしようもない」と悩ましげだ。

  ●土産人気根強く

 一方、金沢市内の百貨店や土産物店では、金箔入りの化粧品や食品、工芸品などが、土産物として観光客から根強い人気を集めている。

 特に欧米客は、金箔貼り体験などを好むという。土産物店の担当者は「見た目が美しく、金沢と言えば『金箔』というイメージもある。中には、数万円のアクセサリーを複数購入する人もいる」と語った。

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