FIFPROが偽代理人に関する注意喚起…ドログバがアフリカ人選手に対し「次の被害者になってほしくない」

[写真:Getty Images]

国際プロサッカー選手会(FIFPRO)が、アフリカのサッカー選手に対して、悪徳な偽エージェントの被害を避けるための啓蒙キャンペーンを行っている。『ESPN』が伝えている。

【動画】ドログバがアニメーションビデオで注意喚起

今回の啓蒙キャンペーンは、チェルシーやコートジボワール代表で活躍したアフリカサッカー界のレジェンドであるディディエ・ドログバ氏とFIFPRO、国際労働機関(ILO)の協力によるもの。

ドログバ氏はアニメーションキャンペーンビデオを通じて、悪徳な偽エージェントに対するリスクについて注意喚起を行っている。

「どうか、これを聞いてほしい」

「誰を信用するかよく注意してほしい。君らのお金をほしがる人を決して信用しないでほしい」

FIFPROは最近、アフリカ7カ国の選手263人を対象に調査を行ったところ、70%以上が移籍を手伝うと約束した人物から一方的に連絡を受けていることが判明。

最も多くの場合、アプローチを受けた選手にはトライアル(43%)またはクラブとの契約(39%)の機会が提供されたが、56%は約束されたトライアルを受けられず、44%は期待していた契約にサインできなかったという。

こういった実情を受け、FIFPROは以下の声明を発表している。

「FIFPROは、エージェントを装った人物が選手たちに近づき、トライアルや新クラブとの契約を約束するという話を多く聞いています」

「現実はそれほど魅力的ではありません。最悪の場合、選手は帰国するお金もなく海外で立ち往生することになります」

また、ドログバ氏は多くの若手選手がエージェント確保に熱心であるため危険にさらされていると語っている。

「最良のエージェントは君たちが信頼できる人間ではない。君たちが持つことができる最良のエージェントは自分自身のパフォーマンスだ」

「これは決して嘘ではない。だから、君たちが良いパフォーマンスをすればするほど、より多くのクラブが君たちのプレーを見に来ることになる」

「私が目にしているのは、多くの子供たちがクラブを見つけてもらうためにエージェントを探しているということだ。それはうまくいかない。クラブや良いエージェントの注目を集めるのはパフォーマンスだけだ」

今回のキャンペーンには、悪徳な偽エージェントの見分け方、契約書で何を確認すべきか、外国人従業員としての選手の権利など、実践的なアドバイスを記載した選手向けのパンフレットが含まれている。

ドログバ氏は最後に今回の啓蒙キャンペーンを見るであろう、多くの若手選手に対して、自身の忠告を真剣に受け止めることを求めた。

「我々の友人の中には、家族の貯金や持ち物すべてを支払った人もいたが、海外でプレーしたことは一度もない」

「その代わりに、彼らは空港や粗末な空間、他の20人がいるスタジアムの下で立ち往生したり、橋の下で暮らしたり、アジアでは刑務所に入れられたりもした」

「私は一人の選手について話しているのではない。君たちと同じように、同じ希望と夢を持ち、だまされて何も残されなかった何千人もの選手のことを話している。私は君たちに次の選手になってほしくない」

なお、国際サッカー連盟(FIFA)の新しい規則の一環として、2023年10月1日以降、すべてのフットボールエージェントはFIFAライセンスを取得する必要があり、試験に合格する必要がある。

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