長崎県の公立高で前後期選抜廃止 自己推薦など3段階に 2025年入学から

公立高校入学者選抜制度の改革

 長崎県教委は6日、県内公立高の入学者選抜制度(全日制・定時制昼間部)の改革内容を明らかにした。定員の充足や学力の担保などの面で課題があった前期・後期選抜制を廃止。代わりに、自己推薦による「特別選抜」、学力検査が中心の「一般選抜」、再募集の「チャレンジ選抜」の3段階で実施する。対象は2025年4月に入学する現在の中学2年生から。
 現行制度は21年度入試から導入した。前期選抜(2月上旬)は、国語・数学・英語3教科の基礎学力検査やテーマに沿ったプレゼンテーションなどを課す「特色選抜」と、基礎学力検査と実技などによる「文化・スポーツ特別選抜」のどちらか、もしくは両方を各校で実施。後期選抜(3月上旬)は、理科・社会も含む5教科の学力検査と面接を課す。前期で合格しなかった場合、後期で同じ学校も受検できる。
 前期の定員は原則5~50%で各校が設定する。前期で不合格となり、後期を受検せず私立校に進学する生徒も一定数いるため、欠員が生じる公立校がある。ほかに、前期不合格者の心理的負担や、前期合格者の3教科以外の学力を不安視する意見もある。
 新しい制度ではまず、募集全体の15%以内を定員とする「特別選抜」(2月第1週)を実施。部活の地域移行に伴い生徒の活躍の場が学校外に広がっていることも踏まえ、校外の活動も評価の対象にする。各校指定のスポーツや文化活動などで実績を持つ生徒を対象にした「自己推薦(1)」と、指定に関わらず自分の強みを押し出す「自己推薦(2)」を設定。学力検査はなく、自己推薦書やプレゼンテーションなどで選抜する。
 次の「一般選抜」(2月第3週)は、募集全体の85%以上を定員とし、5教科の学力検査と面接をする。定員の比率は各校で設定。学力検査で出題する約2割に、日常生活や社会課題などに関連した「探究的な」問題を取り入れる。特別選抜で合格しなかった学校を再受検することも可能。
 さらに、ふるさと教育や少人数教育に力を入れている離島・半島部の高校を中心に、再募集制度「チャレンジ選抜」(3月第1週)も新設する。
 6日の定例教育委員会で改革案を発表し、可決された。田川耕太郎・県教委高校教育課長は「『ふるさと長崎や世界の未来を拓く人材の育成』を目標に、公立高校の強みである多様な学びにつながる入学者選抜になるよう配慮した」と説明した。

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