白いスカートはいた「女王」の正体は? 宍粟や姫路の山中に仲間と君臨、ある時は中華料理の高級食材

竹林で群生しているキヌガサタケの仲間=姫路市の太市地区

 白いレース状のスカートをはいているような見た目から「キノコの女王」とも呼ばれるキヌガサタケやその近縁種が、兵庫県宍粟や姫路市で次々と発見された。梅雨時の山中で、不思議なたたずまいを見せている。(村上晃宏、辰巳直之)

 スッポンタケ科のキノコで、スカートのように見えるのは「菌網」と呼ばれる網状の組織。先端にある粘液の中には胞子が入っており、臭いを発してハエなどに運んでもらう。

 宍粟市の会社員女性(49)は6月18日午前、自宅付近をウオーキング中、道路沿いの山裾で発見した。ごみを拾いながら歩くのが日課で、この日も視線を落として歩いていて、高さ十数センチの奇妙な形をしたキノコに気付いた。

 姿に見覚えがあったためインターネットで調べるとキヌガサタケだと判明。しぼむ前に急いで撮影した。「最初はごみかと思ったんだけど。やっぱり宍粟は自然豊か」と笑いつつ、「貴重なものを見ることができた。今後も生えてくるのなら注目しておこうかな」と喜んだ。

 タケノコの名産地、姫路市・太市(おおいち)地区の竹林でもキヌガサタケの仲間が大量に見つかった。白いマントを広げ、林の中に数メートルおきに生えている。

 発見したのは、地元のタケノコ農家でつくる「太市筍(たけのこ)組合」理事の村田定克さん(72)。6月30日朝、組合員の竹林を巡回中、白く染まった一角を見つけた。「竹やぶの中に白いものがいくつも見えたので、何かなと思った。何十年も山を見ているが、こんなことは初めて」と驚いていた。

 中華料理の高級食材として取引されるが、群生している土地の所有者は収穫する予定がないという。

© 株式会社神戸新聞社