家康「伊賀越え」休息伝承ある京都の寺院、独自のぼりで注目 

徳川家康の伊賀越えの伝承をPRしようと遍照院が制作したのぼり(宇治田原町奥山田)

 徳川家康が「伊賀越え」の際に休息したと伝わる遍照院(京都府宇治田原町奥山田)が、伝承についてののぼりを作成し町内で掲示している。家康や武将のイラストに文章を添えて5種類で1セットとした凝った作りで、住民らの目を引いている。

 本能寺の変の際、家康一行は堺におり、伊賀(三重県)を越えて三河(愛知県)へ逃れたと伝わる。京田辺市や同町を通ったルートが有力とされ、同院には家康が休んだという「腰かけの石」がある。NHK大河ドラマ「どうする家康」に合わせて企画し、自費で20セットを制作した。

 図柄は五つ。うち三つは難所の松峠を越える一行▽同院で心を落ち着かせる様子▽心を決めて先へと進む姿-の各場面をイラストで描き、紹介する文章を添えた。家康と本多忠勝、井伊直政らの家臣団などの絵を含め、苦難の逃避行の伝承を分かりやすく伝える。同院周辺など町内約10カ所に掲示している。杉山浩義住職(86)は「当時の人が無事に家康を送らなかったら、歴史は変わっていたかもしれない。地域の人に知ってもらいたい」と話す。

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